2022/8/7

賞与にどれくらい差をつけるべきか

 賞与にどれくらい差をつけるべきかについては、2つの論点がある。1つは、管理職と非管理職との差、もう1つは、同職位間の差である。ここで述べたいのは後者であるが、前者について簡単に触れておくと、経団連の2021年「夏季・冬季賞与・一時金調査結果」によれば、以下のとおりである。

 非管理職管理職
夏季720,058円1,461,602円
冬季692,033円1,342,201円

 非管理職に対する管理職の額を倍率で示すと、夏季は2.03倍、冬季は1.94倍である。10年前(2011年)は、夏季は1.88倍、冬季は1.84倍で、大きな違いはない。管理職の賞与額は非管理職の2倍弱が標準といえそうである。

 次に本題の同職位間の差であるが、同職位間の差というのは、評価によってどれだけの差が生じるかと考えてよいだろう。これについても経団連の調査を見てみよう。

 調査では、非管理職と管理職について、標準者を0とした考課査定幅の分布状況を、それぞれ、「最高と最低の幅が同じ場合」と「最高と最低の幅が異なる場合」の2つに分けて示しているが、ここでは、「最高と最低の幅が同じ場合」を示す。

 まず、非管理職の上位3つは以下の通り。

「10%以上 20%未満」32.3%
「30%以上 40%未満」16.7%
「50%以上」16.7%

 次に、管理職の上位3つは以下の通り。

「10%以上 20%未満」26.9%
「50%以上」19.2%
「20%以上 30%未満」17.9%

 いずれも最多は「10%以上 20%未満」である。仮に標準の賞与額が非管理職70万円、管理職140万円で、幅が15%とすると、

・非管理職70万円(±10.5万円)
・管理職140万円(±21万円)

 となり、最高と最低の差は、非管理職で21万円、管理職で42万円となる。たとえば、これまでほとんど賞与に差を付けていなかった企業が、これから差を付けようとする際の1つの目安となるだろう。

 筆者もそういうケースでは、標準評価に対して最高評価で1.2~1.3倍、最低評価で0.8~0.7倍といった形で設計することが多い。これにより、固定分と合わせて差が「10%以上20%未満」に落ち着くことになる。

 調査では、「50%以上」とかなりの差を付ける企業も結構多い(ちなみに「最高と最低の幅が異なる場合」では、非管理職・管理職ともに最高・最低いずれも「50%以上」が最多数である)。

 50%の場合、上記の例では、最高と最低の差は、非管理職で70万円、管理職で140万円となる。年収で見れば150万円、300万円もの差になる。あくまで理論値であり、実際には、最低額・最高額になる社員はそれほどいないと思うが、それでも1回の賞与で、非管理職50万円、管理職100万円くらいの差がつく企業も結構あるということだ。

 このように、同職位内の賞与差は、標準に対して±10~20%と比較的穏やかなものが多い一方で、±50%以上というドラスティックなものも少なくない。どういったものにするかは企業の考え方次第だが、近年は、よりメリハリをつけようとする動きが多いように思う。それはそれでOKなのだが、差を付けるのであれば、査定の根拠、つまりは評価に対する納得性がますます重要になるこ留意しなければならない。          

 


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