2022/4/3

女性管理職の意識

 女性管理職の割合は各種の調査を見ると10%前後というところだ(ちなみに役員を含めると高めになることは「女性管理職の現在」で触れている)。元々、政府は2003年に、2020年に女性管理職の割合を30%にするという目標を掲げていたが、無残な結果に終わっている。目標管理の達成度評価でいえば、「設定した目標を大幅に下回った」の最低D評価となるのは間違いない。

 「なぜ低いのか」「なぜ高まらないのか」には多くの議論があるが、1つ参考にしたいのは実際に管理職になった女性の意見である。これに関して、アデコ社が女性管理職を対象に実施した「昇進の動機や管理職としてのキャリアに関する意識調査」を見てみよう。

 まずは「管理職に昇進したきっかけ」は以下の通りとなっている。

「上司からの打診があり、快諾した」58.7%
「上司からの打診があり、仕方なく引き受けた」25.5%
「自身の希望(自発的)」11.9%

 昇進には受け身の姿勢であることがうかがえ、全体の4分の1は仕方なく昇進していることがわかる。

 それでは、管理職になってみて昇進意欲に変化はあるだろうか。「今後、昇進や昇格の打診があった際に更に上位の役職に挑戦してみたいか」は、

「昇格・昇進したい」48.6%
「昇進・昇格したくない」51.4%

 とほぼ拮抗している。わずかに「したくない」が上回っているものの、5割はさらに上を目指したいとの意向であり、“管理職の魅力”に目覚めた女性も一定割合いるといえそうだ。「昇進・昇格に挑戦したい」と回答した理由については、

「給与アップ」47.9%
「女性が活躍できる職場にしたい」36.5%
「もっと大きな裁量をもちたい」31.9%
「女性管理職としてのロールモデルになりたい」31.3%

 といった回答が上位に挙がっており、これらが管理職の魅力の源泉といえるだろう。一方で「昇進・昇格したくない」と回答した理由の上位は、

「ストレスが増えるから」56.5%
「現在の職務で満足しているから」41.5%
「自分には向いていないから」40.0%

 であり、管理職になってはみたものの、その魅力よりも大変さの方が上回っていると感じる女性も多いことがわかる。

 最後に、管理職になる女性を増やすために必要なことについては、

「子育て・介護等と仕事の両立支援」43.8%
「管理職の役割やあり方の見直し」35.1%
「職場の理解促進」34.6%

 が上位である。方策としてよく言われる「ロールモデルの提示・周知」は22.5%と選択肢の中では最も低い。そもそもロールモデルがいないのが要因ではないかと思う。ロールモデルを作るために企業は努力をするものの、個々の女性管理職の多くが悪戦苦闘している現状が浮かび上がる。            

 


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