2021/7/4

会社が求める能力・社員が求める能力

チームワーク
 
 6月28日、厚生労働省が2020年度「能力開発基本調査」の結果を公表した。この調査は、能力開発の実態を企業・労働者双方の立場から明らかにするものだ。その中に、「求める能力・スキル」についての設問があった。

 結論を言えば、会社が求める能力・スキルと現状労働者が有している能力・スキルにはギャップがあるが、労働者は会社が求めるものを認識しており、それを向上させたいと考えている、ということだ。以下、ポイントを示したい。
 
 まずは、企業が自社の発展のために最も重要と考える労働者の能力・スキルの上位である。

●正社員(管理職を除く)・50歳未満
①チームワーク、協調性・周囲との協働力(52.8%)
②職種に特有の実践的スキル(37.1%)
③課題解決スキル(分析・思考・創造力等)(30.9%)

●正社員(管理職を除く)・50歳以上
①マネジメント能力・リーダーシップ(54.6%)
②課題解決スキル(分析・思考・創造力等)(38.2%)
③チームワーク、協調性・周囲との協働力(37.3%)

 正社員でも、ベテラン層(50歳以上)と中堅・若手層(50歳未満)とで求める能力・スキルに違いがあることがわかる。管理職でなくても、ベテラン層にはそれなりのマネジメント能力・リーダーシップを求め、中堅・若手層にはチームの一員としての能力発揮を求めるということだ。

 なお、「正社員以外」の上位3つは次のようになっている。

①チームワーク、協調性・周囲との協働力(53.6%)
②職種に特有の実践的スキル(33.1%)
③定型的な事務・業務を効率的にこなすスキル(31.6%)

 正社員50歳未満と上位2つが同じであり、中堅・若手の正社員と非正規社員とに求める重要な能力・スキルにそれほど違いがないという結果となっている。

 それでは次に労働者側の回答を見てみよう。まず、「正社員」の自信のある能力・スキルは以下の通りとなっている。
 
①チームワーク、協調性・周囲との協働力(50.6%)
②定型的な事務・業務を効率的にこなすスキル(38.3%)
③コミュニケーション能力・説得力(26.8%)

 ①を除いて、企業が求めるものとギャップが生じている。ちなみに、企業が重視している「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」は6番目の17.8%である。

 「正社員以外」は次の通りで正社員と内容は同じとなった。
 
①チームワーク、協調性・周囲との協働力(59.1%)
②定型的な事務・業務を効率的にこなすスキル(42.4%)
③コミュニケーション能力・説得力(25.5%)

 先ほど、会社が中堅・若手の正社員と非正規社員に求める重要な能力・スキルに違いがないことを指摘したが、社員の方も、正社員と非正規社員とで能力にさほどの違いがないと認識していることがうかがえる。

 では、労働者(正社員)が向上させたい能力・スキルを見てみよう。
 
①マネジメント能力・リーダーシップ(39.9%)
②ITを使いこなす一般的な知識・能力(33.5%)
③課題解決スキル(分析・思考・創造力等)(27.8%)

 ①③は企業が求める能力・スキルとの一致が見られる。研修やOJT、人事評価などを通じて、企業が求めるものを社員が認識していることがうかがえる。

 「ITを使いこなす一般的な知識・能力」は企業が求めるものとしては7番目(27.1%)であるが、労働者からすれば、急速にデジタル化が進むなか、会社に生き残るために重要との認識があるのかもしれない。       
 

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