2021/3/14

公務員志望者の増加


 大学生の就職先として、公務員の人気が高まっているという。マイナビが2022年卒の学生を対象に行った「公務員イメージ調査」によると、公務員志望者の割合は23.3%で、前年比2.1ポイント増加しているとのことだ。

 景気が低迷すると、「寄らば大樹の陰」「親方ヒノマル」とばかりに公務員人気が高まるのは常のことだ。今回のコロナ禍においても、そうした側面はあるだろうが、別の側面も見いだせそうだ。

 一言でいえば”市民の暮らしを支える公務員”である。コロナの報道では、エッセンシャルワーカー以外にも、最前線で奮闘する公務員の姿がよく映し出される。その姿に刺激を受ける学生は多いはずだ。特に最近の若者は、仕事に社会的意義を求める傾向が強い。影響は少なからずあるだろう。

 これはマイナビの調査にも現われている。公務員を志望する理由として、「安定している(67.2%)」と「休日や福利厚生が充実している(40.5%)」が1・2位を占めるものの、前年2021年卒と比べてパーセンテージは大きく低下している(前年はそれぞれ80.3%、57.1%)。その一方で、「社会的貢献度が高い(38.2%)」「地域に密着した仕事ができる(33.2%)」は前年比で増加しており、コロナ禍の下、誰かの役に立ちたいとの思いが強まっていることがうかがえる。

 もっとも、人気があるのは国家公務員よりも地方公務員、特に市区町村の公務員のようだ。同調査によれば、志望している公務員は、

・地方公務員(市区町村)67.0%(前年比7.1ポイント増)
・地方公務員(都道府県)52.1%(前年比3.3ポイント増)
・国家公務員(一般職)29.1%(前年比1.5ポイント増)
・国家公務員(総合職)17.8%(前年比2.8ポイント減)

 となっている。国家公務員(総合職)が減少しているのは、官僚の不祥事が相次いでいることに加え、政治家に振り回されあたふたする様子や、度を超えた残業を強いられているなどの印象が強いからだろう。

 実際、同調査で公務員の労働環境のイメージとして、国家公務員は「きつそう」が60.2%(前年比6.4ポイント増)、「楽そう」が13.4%(同3.7ポイント減)である。一方、地方公務員(市区町村)は「きつそう」33。0%、「楽そう」31.2%で両者が拮抗している。

 学生からすれば、地方公務員の仕事と言えば、役所の窓口で住民対応をしたり、事務所で書類のチェックをしたりしているというイメージが強いのかもしれない。実際には、議員に振り回される職員も多いと思うが。

 地方公務員の人気が高まっているのは、コロナ禍で地域外に出たくないというのもあるはずだ。ともあれ、この10年、大きな流れとして公務員志望者が減り続けてきたなか、少なくとも地方自治体にとっては優秀な人材を獲得するチャンスといえそうである。     
 

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