2021/2/7

OFF-JTは効果があるか

 経営者に「あなたの会社では人材育成を重視していますか?」と問えば、おそらく全員が「重視している」と答えるに違いない。では、会社として具体的にどのような取り組みをしていますか?」との問いには、「人材育成体系を整備し戦略的・計画的に進めている」といった制度的なものから、「職場で上司や先輩が教えている」といった事実上企業としては何もしていないものまで、様々な答えが出てくると思う。

 もっとも、制度が整備されていても形骸化しており、効果は上がっていない企業もあるだろうし、逆に制度はなくても、育成の文化が脈々と受け継がれている企業では効果も出ているだろう。

 言いたいのは、人材育成は企業経営に重要とされている割には、その取り組み度合いに濃淡があり、効果もまちまちということだ。言葉を変えると、人材育成のために何をすればよいか、今ひとつ漠然としているということである。

 “人材育成のために何をすべきか”について、2月5日に労働政策研究・研修機構(JIL)が公表した「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」は、企業と労働者それぞれの観点から現状と課題をまとめたもので、多くの示唆を得られる。今回は、「OFF-JTの効果の有無」という切り口で考えてみたい。

 まず、2019年にOFF-JTを実施した企業の割合をみると、約3分の1(34.2%)となっている。労働者の側からすると、2019年にOFF-JTの受講経験があるのは13.6%で、およそ7~8人に1人といったところだ。(なお、OFF-JTとは、JILによれば「従業員の能力開発・向上を図るため、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修」である)

 次にOFF-JTの効果をみると、企業側の回答として挙げられたのは以下の通りだ。

「効果があった」(23.1%)
「ある程度効果があった」(68.0%)
「あまり効果がなかった」(8.4%)
「効果がなかった」(0.5%)

 上の2つで9割以上となり、一定の効果を得られているといえそうだ。ただ、「効果があった」は2割強でやや物足りない感もある。そこで、効果を高めるためにどうすればよいか、1つのヒントが、「人材育成・能力開発の方針が従業員にどのくらい浸透しているか」による違いである。方針の浸透度合いによる「効果があった」の回答は次の通りとなっている。

「浸透している」(47.6%)
「ある程度浸透している」(24.4%)
「あまり浸透していない」(13.6%)
「浸透していない」(14.3%)

 「人材育成・能力開発の方針」の浸透度合いにより、結構な違いが見られ、これが1つのカギとなりそうだ。次回は「人材育成・能力開発の方針」の実態について、JILの調査を確認してみたい。      
 

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