2019/8/26
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派遣労働者の昇給 |
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同一労働同一賃金を反映させた改正労働者派遣法では、派遣労働者の賃金の定め方には派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の2つがあり、主流となるのは後者の方と見られている。 労使協定方式では、基本給を「職種別の基準値×能力・経験調整指数×地域指数」で算出したもの以上とすることになっている(厚生労働省「同種の業務に従事する一般の労働者 の平均的な賃金の額等について」)。 同通達によると、「能力・経験調整指数」とは、能力及び経験の代理指標として、賃金構造基本統計調査の特別集計により算出した勤続年数別の所定内給与(産業計)に賞与を加味した額により算出した指数で、具体的には、「勤続0年」を100として次の表のとおりとなる。
ここで、「勤続0年」とは、新卒者など当該業務についてまったくの未経験者を念頭に置いているようだ。 さて、この通達の意味だが、次のような不明点がある。 ①勤続○年というのは、派遣労働者の勤続(または経験)年数なのか、それとも、勤続○年の労働者が行う業務ということなのか(つまり、派遣労働者ベースなのか、派遣業務ベースなのか、ということ)。 ②この表に従って昇給させなければならないのか。たとえば、初年度が100だとすると、2年目には16%、3年目には26.9%の基本給の昇給を行わなければならないのか。 これに関して、先日公表された厚労省のQAでは、直接的な回答にはなっていないが、次のものがある。
これによれば、①については、派遣業務ベース(勤続○年の労働者が行う業務)を想定しているようだ。ただ、「職務給の場合には」と限定が付いており、能力給のときはどうなるか定かではない。 ②については、職務給であれば、表に従って昇給させる必要はないだろう。一方、能力給であれば、能力の向上度合いによって昇給が必要となるが、表に従って行うべきかは不明である。たただ、QAの考え方に従えば、当該派遣業務は勤続○年の労働者が行う業務ということが前提にあるので、必ずしも表に即して昇給させる必要はないという解釈になるだろうか。 なお、別の経団連のQA(回答は厚労省)では、派遣先均等 ・均衡方式についてだが、「派遣労働者が、賃金に見合った能力が発揮されていない状況となった場合、どのように賃金の見直しを図るべきか?」という質問に対し、「能力の違いに応じた 降給・降格自体を否定するものではない」と回答されている。この考え方に従えば、労使協定方式であっても、能力の度合いによって昇給額を抑えたり、場合によっては減給もありうるということである。 改正派遣法に基づく派遣労働者の昇給に関しては、今後、さまざまな解釈が出てくると思われるので、それを注視しておきたい。 にほんブログ村に参加しています。
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