2019/7/28

メンタル不調のサインとは


 職場でのうつ病や適応障害などのメンタル不調は、症状が悪化してからでは回復期間も長引き、周囲のフォローもそれだけ大変になる。できるだけ早目に察知し、適切な対応を取るのが望ましい。まずは本人の自覚が大切だが、得てして本人にはその余裕がないため、上司や同僚など周囲のメンバーの気づきが求められる。

 では、メンタル不調になると、どのような兆候が表れるのだろうか? 医療情報サービスのメドピア社が産業医500人に行ったアンケート調査によると、 「従業員がメンタル不調になっている可能性があるときの分かりやすいサインは?(選択式・複数回答)」として挙げられたのは以下のものである。

①遅刻や欠勤が増える 252人
②表情が暗くなる 250人
③ミスが増えたり、作業効率が落ちる 216人
④睡眠不足、不眠になる 209人
以下、⑤口数が減る 114人 など

 ①に関しては、具体的なサインの例として、「裁量労働でも、出社が遅くなる時は危険信号」「特に月曜日の休みが多くなる」などが指摘されている。
 欠勤理由にも留意したい。あるカウンセラーの話では、「風邪」で休むのはともかく、「体調不良」といったあいまいな理由で休みが増えたときは要注意だそうだ。
 ②は少し漠然としているが、「あきらかに覇気がなくなる」「いっぱいいっぱいで顔が硬くなる」状態といえば、わかりやすいのではないだろうか。
 部下や同僚、あるいは上司、先輩の様子が少しおかしいなと感じたときは、あらためて、上記の観点からチェックしてみてほしい。

 もちろん、社員任せにするだけでなく、会社としても何か手を打ちたい。「従業員のメンタル不調を早期発見するために、経営者や人事の方が行った方が良いことは?」という質問では、

①従業員との日常的な会話 78人
②定期的な面談 72人

 の2つが上位となった。ストレスチェックの実施(36人)、アンケートの実施(21人)、相談窓口の設置(15人)などは下位となり、やはりフェイストゥフェイスのコミュニケーションの方が効果的のようだ。

 ところで、会話や面談の中で、悪気はないにしても避けたほうがよい言動がある。産業医学振興財団の「メンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応の手引き」の中で、メンタル不調を疑われる社員と話す際の注意点として、

①相手の言うことを頭から否定しない。
②相手の苦しみやつらさに対して、気持ちや気分の問題としたり、一般論化した話・他社との比較をしたりしない。
③相手の言うことを先回りしない。話を途中でさえぎらない。
④無理な励ましをしない。
⑤無理に行動を促さない。

 の5つを挙げている。本人のためを思っていろいろとアドバイスをしがちであるが、まずは本人の話にじっくり耳を傾けることが最重要といえそうだ。
 

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