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2019/6/9

外国の労働基準監督制度

 
 人事労務担当者にとって労働基準監督官は身近な存在(あまり接したくないが)だが、一般には、警察や消防に比べて、なじみの薄い制度である。
 この労働基準監督という制度は、諸外国にも同様のものがある。主要国の制度を、労働政策研究・研修機構(JIL)がまとめた「諸外国の労働基準監督制度」を参考に紹介してみよう。
 
アメリカ
 アメリカでは、賃金および労働時間を監督する賃金・労働時間監督官と安全衛生を監督する労働安全監督官とに分かれている。
 賃金・労働時間監督官は全国200か所の事務所に2015年現在で995人いる。労働安全監督官は本部に約1100人、全国20の事務所に技術者や医師なども含めて約2100人いる。それぞれ、連邦労働省、その外局の労働安全衛生庁の職員、つまり国家公務員ということになる。ちなみに対象事業所数は、安全衛生関連で約700万ということだ。

イギリス
 イギリスでは、労働基準全般を対象とした包括的な監督制度はなく、複数の領域に異なる監督制度と機関が設置されている。
 主要な1つが労働安全衛生制度で、衛生安全局と地方自治体が執行を担っている。また、最低賃金制度については、ビジネス・エネルギー・産業戦略省が所管し、税・社会保険料等の徴収全般を担う歳入関税庁が執行機関となる。他に派遣労働・雇用ビジネスを所管する労働者派遣基準局もある。
 衛生安全局は、全国7地域に約30カ所の地方事務所が設置されており、監督官の人数は2016年現在で1037人である。監督官は、原則として全ての事業所に、事前の通告なしに立ち入り検査を行う権限を有する。主要な職務は、事故の調査、衛生・安全・厚生に関する労働者や一般からの苦情対応、高リスク職場や違反の多い事業者への検査の実施、危険業務に関する認可制度の実施等である。対象となる企業数は、グレートブリテン全体で約537万社(2016年時点)である。

ドイツ
 ドイツでは、労働監督業務は主に州レベルで実施されており、職場の労働安全衛生を管轄対象としている。
 労働監督官は、労働時間、妊婦保護、児童労働・若年労働の保護、家内工業労働に関する法律の範囲内における監査も行うが、労働協約の条項や、賃金支払い、解雇など社会保障と雇用契約に関連する法律には立ち入らない。人数は16州で約3,600名である。
 州の労働監督官のほか、同業者でつくる労災保険組合の労働監督官もいる。労災保険組合は政府や州の組織ではないが、法定の保健機関で事業主は法律の定めにより入会を義務づけられている。監督官数は、2015年時点で1,836人である。労働安全衛生法および労災保険組合が作成した事故防止規則に関する事項の執行のほか、州政府から委譲された事項にも取り組む。

●フランス
 フランスでは、労働監督業務は地域圏レベルおよび県レベルで実施されており、対象分野は、労働安全衛生、労働基準関連、労使関係、不法労働対策、雇用・職業訓練関連と広範にわたる。
 労働基準監督官には労働監督官と労働監督官補の2種類があり、両者の違いは、対象とする企業の規模で、50人以上の企業を担当するのが労働監督官で、50人以下の企業を担当するのが労働監督官補である。2014年時点で労働監督官が1060人、労働監督官補が1176人である。なお、2016年の時点で、労働監督官と労働監督官補は3年後に統合予定とのことなので、現在は統合されているか、近い将来に統合の見込みである。

●韓国
 韓国の労働監督制度は、勤労基準法をはじめ、産業安全保健法、男女平等及び仕事・家庭両立支援に関する法律、最低賃金法等の個別的労働関係法と、労働組合及び労働関係調整法、労使協議等集団的労使関係法を含む16種の法令が規律する業務を扱う。
 本部と47の地方官署から成り、労働監督官数は2015年現在で1,696人である。対象事業所数は2014年現在で約169万事業所。
 労働監督官の主たる業務は法定労働条件を保障するための職務と、勤労基準法及びその他の労働関係法令違反の罪に対する捜査等司法警察官としての職務である。労働者の基本的な労働条件保護のための権利救済業務として重要な業務である事業所監督には「定期」「特別」「随時」の3つの区分がある。

 このように労働基準監督といっても、組織や規制対象はさまざまで、比較的日本と似ているのは韓国やフランスだろうか。

  どの国にも共通しているのは、監督対象となる企業数に比べて監督官が圧倒的に少ないという点だ。警察や消防と違い、市民の暮らしに直接的に影響するわけではないので、やむを得ないのかもしれない。

 もう1つは、安全衛生に関する監督が重視されている点である。これは、生命に関わることなので当然といえるだろう。一方で、労働基準に関する監督は、日本に比べて弱いと感じる。

 欧米は契約社会・訴訟社会なので、労働契約違反により多額の損害賠償請求がありうることや、労働市場が流動化しているためブラック企業には人が集まらなくなること、労働組合が強いことなどから、労働基準に関しては、ある程度企業の自律に任せられるということかもしれない。
 

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