2018/3/5

自社に合った働き方改革を

 
 働き方改革が一大ブームとなっている。猫も杓子もといっては失礼だが、まるで法律で義務化されたかのように多くの企業が取り組んでいる。コンサル会社もここぞとばかりに売り込みに走っている。

 では、どのようなことに取り組んでいるかといえば、大半が長時間労働の削減である。HR総研の「働き方改革」実施状況調査によると、働き方改革の取り組み目的として「長時間労働の是正」が85%(複数選択)でトップに挙げられた。もちろん、これ以外に「生産性の向上・業務の効率化」「従業員の健康増進」などもあるが、働き方改革=長時間労働の削減となっている気がしてならない。

 ちなみに、政府の「働き方改革実行計画」に取り上げられたテーマは次の9つで、ご覧のとおり内容は多岐にわたる。

1.非正規雇用の処遇改善
2.賃金引上げと労働生産性向上
3.長時間労働の是正
4.柔軟な働き方がしやすい環境整備
5.病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
6.外国人材の受入れ
7.女性・若者が活躍しやすい環境整備
8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
9.高齢者の就業促進

 ところで、実践にあたって危惧されるのは次のパターンである。

① トップが、他社がやっているからと思い付きで働き方改革を宣言する。
② 社員にプロジェクトを作らせ、何をすべきかを検討させる。
③ プロジェクトでは、他社の事例を探し、自社でやれそうなものを提案する。
④ とりあえず、取り組む。大半の社員は受け身で、その目的や効果を理解できず、「この忙しいのに」とぼやきながら取り組む。
⑤ 最初は乗り気で威勢がよかったトップも元々本気でないので、口うるさく言わなくなる。
⑥ 半年もすると立ち消えとなる(プレミアムフライデーのように)。
 これまで何度も繰り返してきたことを、性懲りもなくまた‥‥というパターンである。企業の中には、働き方改革にかこつけて不当なリストラや賃金カットを行うところもあり、それに比べればはるかによいが、どうせやるのならば効果的な取り組みを期待したいものだ。

 必要なのは、現在の環境に合致し、将来の成長につながる働き方を見出すこと—自社に合った働き方改革である。確かに長時間労働の是正が多くの企業の課題であることはわかるが、それよりも重要な課題もあるはずだ。

 まずは現状の自社の働き方を振り返ることだ。社員が活き活きと働き能力を発揮できているか、阻害するものはないか、より向上させるために必要なのは何かを明確化することである。
 切り口としては、
・人事制度
・労務管理制度
・雇用形態(多様な正社員など)
・就労形態(テレワークなど)
・仕事の進め方
・人間関係/コミュニケーション
・企業ビジョン
 といったものだ。先に示した政府の実行計画のテーマを参考にするのもよいだろう。

 いずれにしても重要となるのはトップのコミットメントである。トップが本気であることを示すには、自らが課題を認識して変わろうとすることだ。自分の行動を棚上げして社員に働き方の改革を強いても、誰も真面目についていこうとはしないからだ。


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