2019/2/17
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パート有期法の解釈通達~その2 |
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前回に続いて、1月30日に発出されたパートタイム有期雇用労働法の解釈通達のポイントを整理する。ポイントは、
1.今回の改正の中核となる第8条と第9条に関する解釈 2.第8条と第9条の判断手順 の2つであるが、今回のテーマは1の第9条に関する解釈である。 第9条は次のようになっている(番号と下線は筆者)。
以下、下線部⑤~⑧について通達に示された定義や説明をピックアップする。 ⑤「当該事業所における慣行その他の事情」(通達P30~) ・当該事業所において繰り返し行われることによって定着している人事異動等の態様を指す。 ・「その他の事情」とは、例えば人事規程等により明文化されたものや、当該企業において、当該事業所以外に複数事業所がある場合の他の事業所における慣行等が含まれる。 ・ここでいう「その他の事情」とは、職務の内容及び配置の変更の範囲を判断するにあたって、当該事業所における「慣行」と同じと考えられるものを指し、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者の待遇の相違の不合理性を判断する考慮要素としての法第8条の「その他の事情」とは異なる。 前回のコラムでも指摘したが、第8条と第9条に出てくる「その他の事情」という言葉は、それぞれ別の意味を持つことに留意する必要がある。 ⑥「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間」(通達P31) ・当該短時間・有期雇用労働者が通常の労働者と職務の内容が同一となり、かつ、職務の内容及び配置の変更の範囲が通常の労働者と同一となってから雇用関係が終了するまでの間である。 ・すなわち、事業主に雇い入れられた後、上記要件を満たすまでの間に通常の労働者と職務の内容が異なり、また、職務の内容及び配置の変更の範囲が通常の労働者と異なっていた期間があっても、その期間まで「全期間」に含めるものではなく、同一となった時点から将来に向かって判断するものである。 ⑦「同一の範囲」について次のように述べている(通達P14)。 ・職務の内容及び配置の変更が「同一の範囲」であるとの判断にあたっては、一つ一つの職務の内容及び配置の変更の態様が同様であることを求めるものではなく、それらの変更が及ぶと予定されている範囲を画した上で、その同一性を判断する。 ・例えば、ある事業所において、一部の部門に限っての人事異動等の可能性がある者と、全部門にわたっての人事異動等の可能性がある者とでは、「配置の変更の範囲」が異なることとなり、職務の内容及び配置の変更の範囲が同一であるとは言えない。 ・ただし、この同一性の判断は、「範囲」が完全に一致することまでを求めるものではなく、「実質的に同一」と考えられるかどうかという観点から判断する。 ⑧「変更されることが見込まれる」について(通達P14~)。 ・見込みについては、事業主の主観によるものではなく、文書や慣行によって確立されているものなど客観的な事情によって判断される。 ・例えば、ある職務に従事している特定の短時間・有期雇用労働者についてはこれまで転勤等がなかったとしても、同じ職務に従事している他の短時間・有期雇用労働者の集団には転勤等があるといった「可能性」の実態を考慮するなど、具体的な見込みがあるかどうかで判断する。 以上、今般の通達は、第8条と第9条のキーとなる文言について、かなり具体的な説明を加えている。ここに挙げたのは主要箇所の抜粋なので、詳細は通達の該当ページを確認していただければと思う。 次回は、今回の通達のもう1つのポイントである第8条と第9条の判断手順について整理していく。 過去記事は⇒ミニコラムもご参照ください。 お問い合わせは⇒お問い合わせフォームをご利用ください。 |
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