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2019/2/11

パート有期法の解釈通達~その1

 
 1月30日、厚生労働省が2020年4月から改正施行されるパートタイム有期雇用労働法についての解釈通達(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」基発0130第1号・職発0130第6号・雇均 発0130第1号・開発0130第1号)を発出した。

 パート有期法は、これまでのパート労働法に、労働契約法の有期契約に関する第20条を合流させ、パートタイマーと有期契約社員を一括規制するものだ。大半は、従来の「短時間労働者」を「短時間・有期雇用労働者」に改める語句の見直しなのだが、同一労働同一賃金に関する一部の重要条文の改正もあり、第1条の「目的」から第31条の「過料」まで、今般あらためて逐一解説を試みている。

 ざっと目を通したところ、押さえておきたいという箇所がいくつかあった。特にポイントとなりそうなのは次の2点である。

1.今回の改正の中核となる第8条(不合理な待遇の禁止)と第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)に関する解釈
2.第8条と第9条の判断手順

 ただ、通達は72ページにもわたる“力作”で、厚労省の心意気は伝わってくるものの、一読するだけでも正直大変である。そこで本コラムにおいて、3回に分けてポイントを紹介したい。まずは第8条と第9条の解釈である。

 第8条および第9条では以下のことを定めている(番号と下線は筆者)。

第8条
 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
第9条
 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

 通達では、下線部を付した用語・文章についての定義や解説を示している。これらは同一労働同一賃金を目指す上での大前提となるもので、この解釈を誤れば、すべての取り組みがムダになりかねない。企業としては、きちんと押さえておく必要があるだろう。
 以下、①~⑧について、通達に即してまとめてみる。なお、わかりやすくするため記述内容には適宜修正を加えている。

 まずは、①「待遇」についての説明である(通達P26)。

・基本的に、全ての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等の全ての待遇が含まれる。
・短時間・有期雇用労働者を定義づける労働時間及び労働契約期間は、ここにいう「待遇」に含まれない。
・事業主ではなく、労使が運営する共済会等が実施しているものは対象とならない。

次に、②「職務の内容」の定義である(通達P11~)。

・「職務の内容」とは、「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度」をいい、労働者の就業の実態を表す要素のうちの最も重要なものである。
・「業務」とは、職業上継続して行う仕事のこと。
・「責任の程度」とは、業務に伴って行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等をいい、具体的には以下のものを指す。
 ア.授権されている権限の範囲(単独で契約締結可能な金額の範囲、管理する部下の数、決裁権限の範囲等)
 イ.業務の成果について求められる役割
 ウ.トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度
 エ.ノルマ等の成果への期待の程度等
・責任の程度を比較する際には、所定外労働も考慮すべき要素の一つとなり、トラブル発生時、臨時・緊急時の対応として、また、納期までに製品を完成させるなど成果を達成するために所定外労働が求められるのかどうかを実態として判断する。

 続いて、③「職務の内容及び配置の変更の範囲」の定義である(通達P13~)。

・「職務の内容の変更」とは、配置の変更によるものであるか、業務命令によるものであるかを問わず、職務の内容が変更される場合を指す。
・「配置の変更」とは、人事異動等によるポスト間の移動を指し、結果として職務の内容の変更を伴う場合もあれば、伴わない場合もある。
・それらの変更の「範囲」とは、変更により経験する職務の内容又は配置の広がりを指す。

 ④「その他の事情」は次のように解説している(通達P26)。

・具体例としては、職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合との間の交渉といった労使交渉の経緯などの諸事情が「その他の事情」として想定され、考慮すべきその他の事情があるときに考慮する。
・ガイドラインで、「有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないと認められるものではない」とされていることに留意する。

 ここまで、第8条の①~④の用語・文章に関する記述を整理した。①~④は、第9条にも出てくる。このうち①~③は第8条と同じ意味となるが、④は別の意味となる。この点も含め、第9条の⑤~⑧について次回にまとめてみる。


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