重本コンサルティングオフィス
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2018/12/31

高度プロフェッショナル制度の年収要件

 
 
 12月26日、厚生労働省労政審議会の労働条件分科会にて、高度プロフェッショナル制度の具体的な内容を定めた省令案と指針案が承認された。

 その中で特に注目したいのは年収要件である。以下、概要をまとめると、

・省令において1075万円以上とすることが定められた。
・指針案において、「あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる」ものとされた。
・したがって、労働者の勤務成績、成果等に応じて支払われる賞与や業績給等、支払額が未確定のものは含まれない。
・ただし、賞与・業績給でも最低保障額がある場合、その分は含まれる。
・一定の具体額の支給が約束されている手当は含まれるが、支給額が減少しうる手当は含まれない。

 という厳しい内容となった。

 目を引くのは賞与を原則除外したことだ。“1075万円”の元となった労基法第14条の有期労働契約における専門知識労働者の要件を定める基準は、「労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を一年当たりの額に換算した額が1075万円を下回らないもの」とあるだけで、賞与を除外するものではなかった。それが、今般の指針で賞与を除外することを明示したのは、制度に反対する労働者側の注文が厳しかったからだろう。

 指針では、賞与以外にも変動業績給なども除外対象となっており、要は、

固定的に得られる給与・諸手当+賞与・業績給のうちの最低額≧1075万円

 という要件を満たさなければならなくなる。
 賞与・業績給の最低額とは、評価・業績が最低であった場合の金額ということだ。中にはゼロという企業もあるだろうが、一般的には給与1ヶ月分くらいは最低限支給するだろう。そうすると、毎月の給与+賞与(2回)、つまり14ヶ月分の給与で年収1075万円以上を満たす社員が対象ということになる。14で割ると1月あたり76.8万円である。管理職でなくこれだけの給与をもらえる社員がどれだけいるだろうか。

 国税庁の平成29年民間給与実態統計調査によれば、年収1000万円以上は民間給与所得者の4.5%である。これには役員を含むので、年収1075万円以上の労働者となれば3%を下回ると思われる。さらに、賞与等の未確定部分抜きでこれを満たすとなれば、おそらく2%を切るのではないだろうか。

 制度導入には年収要件以外にも、研究開発やコンサルタントといった対象業務の制限に加え、労使委員会の決議、本人の同意、健康管理措置、状況報告等のさまざまな手続きも必要となる。これだけ注目を集めた制度だけに、行政の指導監督も入念になることが予想される。
 そういった状況の中、あえて制度導入に踏み切る企業がどれだけあるだろうか。導入率わずか1%の企画業務型裁量労働制を超える「誰も使わない制度」になることは間違いなさそうだ。


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