以前にも本コラム(「労基法改正のたたき台」)で述べたが、現在、厚生労働省で学識経験者による労働基準法改正に向けての議論がなされている。12月24日、この研究会から報告書案が提出された。これを基に労働政策審議会での審議が行われ、法改正へと進むこととなる。労政審では労働者側・使用者側の意見が加わるため部分的な見直しは予想されるものの、大きくはこの内容で改正法案がつくられると思われるる。
ここでは、多くの項目の中で休日に関する2つの項目を確認したい。1つは「4週4休」という休日の特例の見直しである。
現行制度では、法定休日として、労働者に毎週少なくとも1回の休日を付与することを原則としつつ、4週間を通じ4日以上の休日を与える変形休日制(4週4休制)も認めている。
この変形休日制の下では、極端な例だが、最大48日連続勤務が理論上可能となる(4週間の最初に4日休日を与え、次の4週間の最後に4日休日を与えるケース。なお、2週目から7週目までは時間外割増手当が必要)。
ちなみに労災保険における精神障害の認定基準では、2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行ったことが心理的負荷となる具体的出来事の一つとして示されている。
実際にそのような連続勤務をさせる企業は皆無と思われるが、法律上可能とするのはマズイのでは? というのが今回の指摘である。
研究会では、4週4休の特例を2週2休とするなど、連続勤務の最大日数をなるべく減らしていく措置の検討に取り組むべきとし、具体的には、「13 日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労基法上に設けるべきとしている。これは労使協定に基づく休日労働も含めて連続勤務を認めないものである。労政審で、使用者側からはどのような意見が出るか注目である。
もう1つは法定休日の特定である。
法定休日の特定については、労基法上の定めがない。ただし、通達で「就業規則その他これに準ずるものにより三割五分以上の割増賃金率の対象となる休日が明確になっていることが望ましい(平成6年1月4日基発第1号)」と、法定休日の特定を促している。
もっとも法定休日を特定していない企業は多い。そのような企業はどういう取り扱いになるかといえば、「法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる(厚労省『改正労働基準法に係る質疑応答』2009年10月5日)というのが厚労省の見解である。週の後に来る休日が法定休日ということだ。
週については、「一週間とは、就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週をいうものである(昭和63年1月1日基発第1号、婦発第1号)」となっている。
したがって、就業規則に法定休日や週の起算日の規定がない土日が休日の企業では、土曜日勤務が法定休日労働となる。実際のところ、休日勤務をさせるのは日曜日よりも土曜日のほうが多いと思う。土曜日勤務に対する休日労働割増手当の支払いを防ぐには、日曜日を法定休日とする旨、あるいは週の起算日を月曜とする旨を就業規則に定めておく必要がある。
研究会では、「あらかじめ法定休日を特定すべきことを法律上に規定することに取り組むべき」と指摘しているが、そもそも、法定休日と所定休日に分けることから混乱が生じる。いっそのこと休日=法定休日にしてしまえばスッキリするのは確かである。まあ、これは使用者側が反対するのは明らかだが。