2024/12/15

中途社員の定着は3か月が勝負

 人手不足のなか、多大な金銭的・時間的費用をかけて採用した中途社員には、定年までとは言わないものの、できるだけ長く働いてほしいというのは、多くの企業の願いだろう。

 そのために企業は、中途社員の定着を促すための方策に知恵を絞っているはずだが、そういった努力にもかかわらず、退職者が発生してしまうのも現実である。

 それでは、中途社員リテンションのカギは何か。これまた色々な切り口があるだろうが、ここでは「期間」の問題を考えたい。つまり、中途採用者が、入社後どれくらいの期間で退職を考えるかだ。会社からすると、その期間を乗り切れば退職リスクは低くなる。

 人材採用サービスのエン・ジャパン社が11月27日に発表した「中途入社者の定着」実態調査(2024)で、中途入社者が退職に繋がりやすいのは、入社後どのくらいの期間かを質問している。結果は以下の通り。

「1ヵ月未満」8%
「3ヵ月未満」26%
「6ヵ月未満」13%
「1年未満」22%
「2年未満」17%
「3年未満」8%
「3年目以降」5%

 「(1ヵ月以上)3ヵ月未満」が、最も退職に繋がりやすい時期だと考えている企業が多い。とりあえず、入社後3か月までが1つのヤマになるということだ。つまり、入社3か月までは、特に注意を払いながら、定着のための施策を講じる必要性が高いといえる。

 中途社員の視点に立てば、入社後3か月の間に、この会社で働けていけそうかどうかを見定めることができるということだ。3か月もあれば、過去の経験から、この会社がどういう会社か、あるいは、自分に合っているかが判断できる。新卒者であれば、おそらくもっと長い期間を要するだろうが、中途社員は、その辺の眼力は培われているわけである。

 1つ注意したいのは業種による違いが結構あることだ。「1ヵ月未満」と「3ヵ月未満」の合計の割合で見ると、「運輸・物流・倉庫」(48%)や「流通・小売」(40%)が高い一方、「コンサルティング」(13%)や「IT・通信・インターネット」(22%)は低い。一般に現業系のほうが、見定めが早い傾向にあるといえる。

 このような差はあるものの、中途社員が定着するかどうかは、まずは入社後3か月間が勝負となりそうだ。社員の試用期間を3か月とする企業が多いが、実は会社側も、中途採用者から3か月の“試社期間”を設けられているとの認識が必要である。       

 


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