2024/9/8

女性管理職が増えない要因

 帝国データバンク(TDB)が8月23日に発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」によると、女性管理職(課長相当職以上)の割合は10.9%で、調査開始以来初の10%台になったとのことだ。また、管理職が全員男性である企業は43.0%で、前年から2.1ポイント低下したとのことである。

 政府は、2020年に策定した第5次男女共同参画基本計画において、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度」とすることを目標に掲げている。この目標は、当初は2020年までだったのだが、未達に終わったために再設定されたものである。その再設定目標も、どうやら達成は困難な状況である。女性管理職は徐々に増えつつあるが、その歩みは遅いというのが現状である。

 女性管理職はなぜ増えないのだろうか。TDBの調査では、女性管理職の割合が上昇しない要因や課題として、以下の回答が上位に挙げられている。

「家庭と仕事の両立がしにくい」54.4%
「日本社会の性別役割分担意識の存在」38.5%
「女性従業員が昇進を望まない」36.2%
「候補者がいない(女性社員が少ない・いない・もしくは勤続年数が短い)」34.1%

 これらはそれぞれ独立した要因というよりは、2番目の「性別役割分担意識の存在」が他の項目に影響を及ぼしていると考えられる。単純に言えば、「性別役割分担意識の存在」により、「両立がしにくい」ために、「昇進を望まないlあるいは「候補者がいない」ということである。そう考えると、まずは「性別役割分担意識の存在」を何とかしなければならないのが根本的な課題といえそうだ。

 一方で、企業が女性活躍推進のために取り組んでいる施策として挙げられたのは以下のものだ。

「性別に関わらず成果で評価」61.2%
「性別に関わらず配置・配属」50.6%
「女性の育児・介護休業の取り組み促進」32.8%
「就業時間の柔軟化」27.5%
「時短勤務の対応」27.1%

 トップの「成果で評価」は、一般的に労働時間が短ければ成果も上げづらくなるので、家庭に時間を取られる女性にはどうしても不利である。単純に成果のボリュームだけで見ると、女性管理職増加の妨げになりかねないことに注意が必要だ。

 2つ目は施策というよりは、男女雇用機会均等法上の義務である。上位2つは、さきほどの要因に対応しているとはいいがたい。

 3つ目以降にようやく、家庭と仕事の両立への支援となる取り組みが挙げられている。これらにもっと積極的に取り組みことが女性管理職を増やすために必要だろう。

 もっとも、根本は「性別役割分担意識の存在」であり、家庭の、さらに言えば配偶者(夫)の意識の問題である。企業の施策だけでは難しいのが実情だが、多くの企業が施策を講じることが意識の変化につながるはずだ。そう考えると、これから加速度的に女性管理職割合が増えることが起こりうるかもしれない。     

 


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