2023/5/21

チャットGPTを試してみた

 このところ新聞等で、生成AIの話題がない日はない。その代表格である米オープンAI社のチャットGPTは、人の質問に対してWEB上の大量のデータから回答を導き出し、自然な文章で答えてくれるというものだ。他にもプログラミングをしたり、詩や小説を書いたりしてくれるそうだが、ユーザーの一番の関心事はやはり質問回答機能だろう。筆者も遅まきながら試してみた。

 質問は「人事評価を適切に行うためのポイントは?」というものである。すると、ほとんど間を置かず、以下の回答が返ってきた。

1.目的を明確にする
 人事評価の目的を明確にし、評価の範囲や評価の基準を定めることが重要です。評価の目的は、社員の能力やパフォーマンスを測定し、適切な報酬や昇進の決定をすることです。
2.公正で客観的な評価を行う
 評価には、主観的な評価や偏見が入り込まないように、公正で客観的な評価を行うことが重要です。評価の基準を明確にし、複数の評価者からの評価を取り入れることで、公正性を確保することができます。
(以下、3.目標設定とフィードバック、4.継続的な評価と改善5.コミュニケーションの確保、と続く)

 内容は特に問題ない、というか適切だし、文章も自然である。本コラムにそのまま使えそうである。仕組みとしては、ウェブ上の記事から関係のある情報を集め、整理し、文章にまとめる、という手続きを瞬時にやってしまうということだ。恐るべき技術である。

 ただ、質問によっては的外れの回答もあり、現状ではまだ弱点もあるようだ。たとえば、「労働協約とは?」に対する回答は以下のものである(下線は筆者)。

 労働協約とは、労働者の権利や待遇、労働条件などについて、労働組合のメンバー間で合意に達した取り決めのことを指します。具体的には、労働時間、休暇、給与、退職金、社会保険、労働安全衛生など、労働に関するさまざまな問題について取り決めが含まれます。
 労働協約は、労働組合のメンバーによって交渉され、合意に達した後、労働組合と雇用者との間で署名されます。ただし、労働協約は法的な拘束力を持ちません。つまり、雇用者がその内容に従う義務はありませんが、一方で労働者はそれに従うことを期待されます。また、労働組合が雇用者に対して圧力をかける手段として、労働協約を活用することがあります。(以下、略)

 少なくとも日本の労働協約として、下線部は明らかな誤りである。労働協約は労働組合と使用者との間の取り決めであるし、また、労働組合法により法的な拘束力を有する。回答は、欧米など職種別の労働組合の考え方ではないかと思われる。

 現状、大まかな総論的なことであればともかく、個別具体的な事項については誤りが見られるようだ。新聞で読んだが、岸田首相の出身大学も誤ったものが示されるという。

 ただ、一般の人が読めばそういうものかと思うだろう。質問内容にもよるが、現状では、あくまで参考に留めておくのが無難といえそうだ。特に人事労務分野は、法律等で正誤がハッキリしやすいものが多いので、AIの回答を鵜呑みにしないよう心掛けるべきだろう。

 もっとも、AIというのは自ら学習をする。極端な話だが、AIがこのコラムを読んで、労働協約の説明が間違っていたことを認識し、今後修正がなされるということがあるのかもしれない。それはそれで怖い気もするが。     

 


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