3月27日、人事院の「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」から最終報告がなされた。一般職国家公務員の今後の目指すべき働き方と施策を示すものだ。施策は次の3つである。
1.より柔軟な働き方
・フレックスタイム制について、選択的週休3日の対象職員の拡大、勤務開始後の勤務時間の変更、非常勤職員の1日の勤務時間の上限見直し。
・夏季休暇の使用可能期間、年次休暇の使用単位の見直し。
2.テレワーク
・業務上支障がない限り、基本的に職員が希望する場合には、テレワーク勤務をすることができるよう基準を明確化。
・テレワーク時の勤務管理、長時間労働対策、健康管理等について考え方を整理。テレワークの円滑な運用のためマネジメント支援やシステム整備が必要。
3.勤務間インターバル
・勤務間インターバル確保について各省各庁の長の責務を早期に法令上明記。
・最終的には、全職員を対象に、原則11時間のインターバル確保を目指す。
・現行制度下で運用改善等を推進し、現状・課題を把握。課題解消に向けた取組を試行として段階的に実施した上で、本格的実施のための制度的措置を検討。
背景にあるのは、近年の国家公務員職の不人気、特に若年層の霞が関離れである。
まず、国家公務員を志望する学生が減っている。2022年度の総合職試験(大卒程度)の申込者数は16,626人で、2018年度は2万人を超えていたことからすれば大きな減少である。
若手の退職者も増加している。2020年度の在職10年未満の退職者数は109人で、2013年度と比べると33人(43.4%)増加となっている。5年未満退職率は、2013年度採用者の5.1%から2016年度採用者は10.0%と4.9ポイント上昇している。
原因に、国会対応などのための長時間労働、その割に給与が低いことがある。最近の若者が重視する「コスパ」「タイパ」が悪いということだ。かつては、10年20年辛抱すればそれなりのポジション・待遇が与えられると我慢できたのだろうが、不透明な将来よりも現在を重視するのが今の若者である。さっさと見限り、民間等、他の選択肢に乗り換えるのは、当然のことなのだろう。
さて、施策の中身だが、いずれの内容もオーソドックスで、それなりの効果を見込めそうだ。特に、フレックスタイムによる週休3日制と希望者へのテレワーク勤務承認は、若者に響く施策と思う。
週休3日制の採用割合は、厚労省の令和4年度就労条件総合調査によれば8.6%とまだ少数で、アピール度は高い。テレワークに関しては、今日(4月23日)の日経新聞にもオフィス出社回帰が進んでいるとの記事があったように、揺り戻しが見られる。対面勤務を歓迎するのは、管理職など高年齢層が多いと思われ、若年層はテレワークを続けたい人が比較的多いのではないだろうか。この2つは、民間企業でも考えたい施策といえる。