新型コロナウイルスの影響により、働き方は大きく変わった。コロナウイルスという外圧により、改革が一気に進んだともいえる。これまでの働き方は何だったのか、とあらためて思うこともあるに違いない。
それでは、どのようなものが不要だったのか。人材ビジネスのエン・ジャパン社が人事担当者を対象に実施した「コロナ禍でわかった無くてよかったもの、必要になったもの」というアンケート調査を見ると、「無くてよかったもの」のトップ3に、
「対面での会議」(45%)
「社内イベント」(25%)
「定時勤務」(23%)
が挙げられている。「対面での会議」が2位以下を大きく離してのトップとなっているが、これには多くの人が納得できると思う。理由として挙げられているのをまとめると、
①移動時間の節約(Time)
②移動費用の節約(Transportation expenses)
③紙の資料の節約(Paper)
つまりTTPの節約である。特に個々の社員にとっては①が大きなメリットになると思う。筆者も遠方のクライアントとのミーティングがオンライン化したことで大きなメリットを享受している。移動は嫌いではないが、ミーティングが終わった瞬間に自分のオフィスにいるというのは、ドラえもんの「どこでもドア」を使っている感覚になり、その利便性にもはや後戻りはできない。
もちろん、すべてオンラインでOKというわけではなく、初対面のときや重要事項の説明があるときなど、本当に必要なときには対面で実施するというやり方がベストだろう。
続いて2番目の「社内イベント」が不要な理由は、
①そもそも無くても困るものではなかった
②企画をする手間が省ける
といったものだ。①については、社内イベントがなくても特に不満はないという社員が多いと思う。そのうちの何割かは、むしろ無い方がよいという社員もいるだろう。一方で、必要性を感じているイベント好きな社員も一定割合いるはずだ。その辺が「対面での会議」とのパーセンテージの大きな差になっていると考えられる。
3番目の「定時勤務」が要らない理由は、時差通勤のメリットを享受できるということだ。つまり、
①自分に合った時間で働ける
②通勤ラッシュを避けられる
などだ。ただ、これもパーセンテージは「対面での会議」の半分ほどだ。チームワークを重視する日本では、メンバーによって出勤時間がバラバラなのは困ると考える企業は多いだろう。
その他に挙げられているのは、「押印(ハンコ文化)」「書類での申請」などである。いずれも「何とかしなきゃ」と思いながらもダラダラ続けていた会社もあるに違いない。コロナを契機に一気に見直しが進むのは喜ばしいが、これくらいの外圧がないと変えられないのも少し複雑である。
さらに言えば、変わる会社はまだよいが、やがて社会が落ち着いたとき、何事もなかったようにこれまでと同じ働き方を続ける会社も多いはずだ。そこが一番心配である。