2021/8/15

管理職の仕事の裁量度~その1

管理職の仕事の裁量度

 仕事に対する裁量というのは、会社での地位が高まるに連れて大きくなるのが一般的だ。管理職であれば、いちいち細かい指示を受けずに仕事を進めるのが普通と思われるが、実際のところはどうなのだろうか。


 これに関して、労働政策研究・研修機構が先月公表した「管理職の働き方に関する調査」を見てみよう。調査では、管理職を対象に「職務の遂行方法の決定」と「上司の業務指示の程度」を尋ねている。今回は「職務の遂行方法の決定」の結果を確認してみたい。

 まず、「職務の遂行方法は通常どのように決められているか」について、管理職全体では、次の通りとなっている。

「会社又は上司が設定」(17.6%)
「上司と相談しつつ決定」(66.4%)
「自己決定」(15.7%)

 役職別では次の通りである(調査では、「部次長クラス」「課長代理クラス」もあるが、ここでは省略している)。

「会社または上司が設定」
・支社長・事業部長・工場長クラス(以下、支社長等クラス)(22.0%)
・部長クラス(13.3%)
・課長クラス(16.7%)
・係長クラス(26.1%)

「上司と相談しつつ決定」
・支社長等クラス(51.0%)
・部長クラス(65.2%)
・課長クラス(69.9 %)
・係長クラス(65.7%)

「自己決定」
・支社長等クラス(26.8%)
・部長クラス(21.2%)
・課長クラス(13.1%)
・係長クラス(8.2%)

 概ね下位に行くほど裁量度が低くなるのは想像どおりだが、「会社または上司が設定」において、支社長等クラスが22.0%と、係長クラスに次いで高い割合となっているのが意外である。逆にこのクラスになると、遂行方法を経営者にしっかり握られているということだろうか。中小企業であれば、オーナー社長がこと細かく指示を出すというケースも考えられる。そこで企業規模別に見ると、

「会社または上司が設定」
・1~99人(15.6%)
・100~299人(14.7%)
・300~999人(17.8%)
・1,000~4,999人(21.1%)
・5,000人以上(25.5%)

 となっており、むしろ規模が大きいほど割合が高くなっている。大企業では、ヒエラルキーが確立しており、業務遂行方法もきっちりルール化されていることが多いということかもしれない。

 次回は、「上司の業務指示の程度」を確認してみたい。         
 


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