2021/7/18

育児介護休業法の改正(2021年6月)

育児休業
 
 育児・介護休業法は頻繁に改正が行われている。どうも選挙が近くなると改正される印象があるが気のせいだろうか。それはともかく、今年6月に結構大がかりな改正法が公布されたので、そのポイントを整理しておこう。3段階に分けて施行されるので、それに応じて示したい。

1.2022年4月1日施行(全企業対象)

(1)育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備

 2つの内容があり、1つ目は、育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備を事業主に義務づけたことだ。具体的な内容は、研修の実施、相談窓口の設置等、その他である。その他については、今後省令で示されるが、取得事例の情報提供などを想定しているもようだ。
 
 2つ目は、本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対して、個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務づけるものだ。改正前、個別周知は努力義務であった。周知の方法は、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等となる予定だ。

(2)有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和

 現行の有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上の者」とする要件を廃止する。ただし、労使協定を締結した場合は、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することはできる。したがって、労使協定を結べば法改正の影響はない。

2.公布日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日(2022年10月前後となる見込み)(全企業対象)

(1)出生時育児休業の創設

 男性の育児休業取得促進のため、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みを創設する。今回の改正の目玉で、主なルールは次の通り。
①休業の申出期限については、原則休業の2週間前まで
②分割して2回取得可能
③労使協定により、労働者と事業主の個別合意で休業中に就業することも可能
 なお、これに伴い、現行の出生後8週間以内に取得できる“パパ休暇”制度は廃止となる。

(2)育児休業の分割取得

 育児休業((1)の休業を除く。)について、現行法では原則1回限りとしているものを、分割して2回まで取得することが可能となる。

3.2023年4月1日施行](従業員1,000人超企業対象)

(1)育児休業の取得状況公表の義務付け

 常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、毎年1回以上、育児休業の取得状況の公表を義務付ける。公表内容は今後省令で定められるが、「男性の育休取得率」などが入る見込みである。

 改正の趣旨は育児介護休業の取得を促すこと、特に男性の育児休業取得促進が主眼となっている。こういった改正に対して、制度ではなく意識を変えなければならないという意見が出てくる。それももっともだが、制度を変えることで意識が変わるのも確かだろう。この改正により、男性の育児休業取得促進が少しでも進むよう望む。        
 

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