2021/1/24

ワーケーションは広まるか

 
 在宅勤務など、会社に行かない働き方が増えている中、存在感を高めているのがワーケーションである。ワーケーションとは、「『ワーク』(労働)と『バケーション』(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用しながら、働きながら休暇をとる過ごし方」(ウィキペディア)である。発祥はアメリカで、和製英語かと思っていたが、れっきとした英語だそうだ。

 エン・ジャパン社が35歳以上のユーザーを対象に行った『ミドル世代の「ワーケーション」意識調査』によれば、70%が「知っている」(内容も含めて知っている:38%、概要だけ知っている:32%)と回答し、ワーケーションをしてみたいか、の質問に対しては、「してみたい」が57%(思う:28%、どちらかと言えば思う:29%)と、関心の高さがうかがえる。もっともワーケーションの経験に関しては、「したことがある」は7%に留まり、まだまだ“高嶺の花”といえそうだ。

 同調査でワーケーションのメリットとして挙げられたトップ3は以下のものである。

①仕事をしつつリフレッシュできる(59%)
②非日常に身を置くことで新しいアイデアが浮かぶ(48%)
③長期休暇が取りやすい(41%)

 ①②は、ワーケーションに本来期待されるものだろう。③は、「仕事もする」という名目があれば長期休暇を取得しやすいということだが、せいぜい1週間くらいしか休めない日本では、大きなメリットとなるのかもしれない。

 一方で、「ワーケーションをしたことはない、するつもりもない」の理由としては、

①旅行・帰省先でまで仕事をしたくないから(53%)
②社内で認められていないから(36%)
③出勤が必要な仕事だから(33%)

 が挙げられている。面白いのは、①は年齢層が高くなるにつれて割合が大きくなり、逆に②は年齢層が低くなるにつれて割合が大きくなることだ。ベテランになるほどワーケーションに否定的な傾向があるようだ。

 この点は、「今後、“ワーケーション”という働き方は広がっていくと思いますか?」という質問にも現われており、50代が「思う:13%、どちらかと言えば思う:43%」と回答したのに対し、30代は「思う:26%、どちらかと言えば思う:34%」と、年代が低いほど、広がっていくと見方が強く、ワーケーションへの期待の高さがうかがえる。

 必ずしも会社に行かなくても仕事ができるとわかった今日、普通に考えれば、ワーケーションが広まるのは間違いない。ただ、在宅勤務のように何かをきっかけに一気に拡大するというものではないだろう。その必要性や有用性が、経営者や管理者層に広く認められているとはいえないからだ。少しずつ浸透していくというのが実際のところだと思う。

 ワーケーションという働き方が市民権を得るのは10年後、あるいは20年後だろうか。その頃、プライベートを楽しみながら仕事もするというワーケーションの仕組みを一番活用しているのは、第一線を退いてゆとりができたベテラン層と想像してみるのも面白い。     
 

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