2020/9/6
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副業ガイドライン改定~その1 |
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今月1日、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定した。従前のガイドラインでは、就業時間の把握の仕方等に関し、基本となる原則を示しただけだったが、改訂版では一歩踏み込んだ説明をしている。これにより、副業をした際の労働時間管理と健康管理のルールが明確化された。ここでは、一番の関心事と思われる労働時間管理のルールを確認しておきたい。
まずは、労働時間の通算で、「副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者は、労働時間を通算して管理する必要がある」とし、「労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行う」ことを原則としている。 なお、念のためだが、ここでの副業・兼業は雇用者としてのものであり、フリーランスや起業等による労働は対象外である。 次に、副業・兼業の開始前に確認すべきルールとして、「自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分は後から契約した会社の時間外労働となる」ことを示している。 たとえば、所定労働時間が7時間の前契約会社(以下A社)の勤務後に、所定労働時間が3時間の後契約会社(以下B社)の下で働く場合、B社の労働時間のうち2時間は時間外労働になるということだ。このため、B社は36協定の締結が必須となる。 また、副業・兼業の開始後に確認すべきルールとして、「所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となる」ことを示している。 この中でわかりにくいのは下線部だろう。どういう意味かを前記のA・B社で考えると、 ある日、A社で8時間労働(所定外労働時間は1時間)し、その後B社で3時間労働(所定外労働時間はゼロ)した場合、A社の所定外労働時間1時間は時間外労働となり、割増賃金の対象になるということだろうか。ちなみに、改定前のガイドライン(平成30年1月)に基づくQ&Aでは上記の解釈をしていたので、多分、そういうことなのだと思うが確信は持てない。 さらに、「各々の使用者は、通算して時間外労働となる時間(他の使用者の事業場における労働時間を含む。)によって、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件を遵守するよう、1か月単位で労働時間を通算管理する必要がある」としている。 ただでさえ複雑な労働時間の上限管理を、他社の分も含めてやりなさいということだ。副業・兼業先が系列会社や関連会社ならともかく、何の関係もない会社との労働時間の通算管理は現実的でない。さすがに厚労省もその点は認めたのだろう。ガイドラインにおいて、より実際的な手法として「管理モデル」というやり方を提示している。次回、これについて整理してみよう。 にほんブログ村に参加しています。 |
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