2018/5/1

ゆとり世代の新入社員は特別?

 新入社員の言動に驚嘆し、何を考えているかわからないと嘆くのは、ビジネスパーソンのこの時期の風物詩である。当の新人たちも、5年も経てば後輩に対して同じことを思うようになる。
 近年はゆとり教育を受けた世代が社会人となっていることから、これまでとの違いが特に目立つような指摘があるが果たして本当だろうか。ネットやSNSの発達により、情報の発信量と受信量が増えただけという気もする。30年前、執務中に堂々と新聞を広げ読み始めた新入社員がいたのを覚えているが、結局のところそんなに変わりはないのではというのが筆者の見解である。

 もっとも、「個性ある」若者に手を焼く上司・先輩が現にいらっしゃるのも確かなこと。新入社員たちが会社や仕事にどのような意識をもっているのか確認してみるのもよいだろう。

 ということで、先日、ソニー生命から発表された「社会人1年目と2年目の意識調査2018」の中から、特に興味を惹いた質問と結果をピックアップしてみたい。

 『良い会社(職場)』だと感じるのは、どのような会社(職場)か聞いたところ、上位5つは次のようになった。

 「職場の人間関係が良い」  58.3%
 「福利厚生が充実している」  51.9%
 「給与が高い」  41.7%
 「残業前提の働き方でない」  36.5%
 「能力を高める機会がある(教育がしっかりしているなど)」  33.2%

 「職場の人間関係」の良さがトップとなるのは極めて妥当と思う。おそらく、どの世代でも同じになるのではないか。
 「給与が高い」よりも「福利厚生が充実している」の方が多いのは、入社したばかりで給与自体がまだ低いからだろうか。たとえば、学生時代の友人と比べても、この時期であれば給与額は大差ないだろう。しかし、福利厚生は企業規模により相当の格差があるはずだ。その点を実感してのことではないかと推察する。
 意外なのは、「事業・経営に将来性がある」が24.7%で、挙げられた10項目中の最下位となったことだ。新入社員にとって、身近な職場環境や待遇がよい会社の決め手となっていることがうかがえる。

 最初に就職する(した)会社で、どのくらいの間、働いていたいと思うか聞いたところ、

 「定年まで働きたい」  社会人1年生32.2%  社会人2年生16.4%
 「すでに辞めたい」  社会人1年生8.6%  社会人2年生27.2%

 となり、1年生と2年生との違いが顕著に現われた。1年間でなぜそのように「辞めたい志向」が増えたのか?  社会人2年生に、実際の社会人1年目の生活と、入社前にイメージしていた生活とで、ギャップがあって驚いたことは何かを聞いたところ、 上位5つは次の項目となった。

 「忙しい(仕事量が多い)」  43.6%
 「覚えることが多い(業務範囲が広い)」  39.8%
 「金銭的に余裕がない(社会人生活にお金がかかる)」  26.4%
 「責任を担う」  23.6%
 「有給休暇が取得しづらい」  23.2%
 
 ひと言でいえば、予想以上に仕事が大変ということだが、一方で「ヒマ(仕事量が少ない)」と答えた人も一定数(13.8%)いる。
 ところで以上は全体結果だが、「すでに辞めたい」意向を持つ人が挙げた項目のうち、「忙しい(仕事量が多い)」「有給休暇が取得しづらい」「サービス残業がある」「研修が不十分」は、上記の全体よりも10ポイント以上高い数値となった。つまり、これらの4つは、新人が辞めたくなる強い要因になるものといえる。

 以上、ここで挙げなかった他の項目も含め、プライベート重視の姿勢が多少強いことが見受けられるものの、ビジネスパーソンの意識として、そんなに違和感のない結果ではないかと思う。それでも、「いや、明らかに違う」という方は、一度、「ゆとり世代」という色眼鏡を外してみてはいかがだろうか。先入観をなくすことで、別の見方ができるかもしれないの思うのだが。


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