2026/7/26

ハラスメント研修8つのポイント②

 社員が腹落ちし、実際にハラスメントが起きないようにするために、研修で工夫すべき8つのポイントについて、今回は5~8を説明する。

5.「加害者・被害者」だけでなく、周囲の社員を主役にする
 多くの社員は、自分を加害者とも被害者とも考えていない。実際に多いのは、ハラスメントを見聞きする立場である。研修では、周囲の社員が取るべき行動を確認する。

・その場で「その言い方は少しキツイと思います」と伝える
・話題や場面を切り替える
・後で本人に声をかける
・管理職や人事に相談する
・日時や発言内容を記録する

 正面から加害者に注意するのは勇気がいる。「その場を離す」「後から支援する」「上位者につなぐ」など、複数の選択肢があることを示す。

6.一般社員、管理職、経営層で内容を分ける
 ある程度の規模の企業であれば、階層ごとの研修を考えたい。たとえば、次のように内容を分ける。

<一般社員向け>
・相手の尊厳を損なわないコミュニケーション
・不快な言動への対応
・周囲で見聞きした場合の対応
・相談窓口の利用方法
<管理職向け>
・適正な指導とパワハラの境界
・感情的になったときの対処
・部下から相談を受けた際の初期対応
・職場内の不適切言動を放置しない責任
・業務量、役割分担、人間関係など、発生要因の改善
<経営層向け>
・発生時の経営・法務・レピュテーションリスク
・「業績を上げる人だから許す」という例外を作らないこと
・管理職評価や人事処遇との連動
・相談者への不利益取扱いや報復の防止
・経営者自身が示すメッセージと行動

7.加害者の考え方を理解する
 ハラスメントは、誰でも加害者になり得る。加害側の立場を知るのも有意義だ。加害者は、しばしば次のように考える。

・悪気はなかった
・冗談だった
・部下のためを思って言った
・自分も同じように指導されてきた
・相手が過敏なのではないか

 意図が善意であっても、方法が不適切であれば問題は起こるという構造を理解させる。「悪い人がハラスメントをする」のではなく、ストレス、焦り、成功体験、権限格差、同調圧力、慣行などによって、普通の人でも不適切な行動を取る可能性があると説明することで自分事として考えやすくなる。

8.経営者・上級管理職が研修に参加する
 研修が効果を持つためには、トップの関与や明確な方針を示すことが求められる。その一環として、冒頭に経営者の言葉を掲げたり、録画メッセージを流したりすることも考えられるが、形式的となりがちである。可能であれば、経営者や部門長が実際に参加し、なぜ自社がこの問題に取り組むのか、業績よりも優先する最低限の行動基準は何か、管理職にも例外を認めないこと、相談者や協力者に不利益を与えないこと、自らも言動を改善すること、などを自分の言葉で述べたい。

 こういった点に留意しながら、あらためて研修内容を検討してみてほしい。1回の研修に終わらせず、定期的に実施をして、定着・浸透させることも重要だ。

 厚生労働省の調査によると、ハラスメントが起きやすい職場には、上司・部下間のコミュニケーション不足、人手不足、残業の多さ、失敗を許容しない風土、日常的なからかいや威圧的言動などの特徴がみられる。このような根本要因を放置していれば、効果は限定的になる。研修とは別に、ハラスメントの土壌となる職場風土の改善にも取り組むことも大切である。          

 


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