
リクルートマネジメントソリューションズが6月23日に発表した「新入社員の意識調査2025」を見ると、近年の若手社員が人間関係を重視し、堅実に会社生活を送ろうとする姿勢が強いことがあらためてうかがえる。
「働いていくうえで大切にしたいこと」のトップは「社会人としてのルール・マナーを身につけること」(53.6%)で、以下、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」(43.7%)、「任せられた仕事を確実に進めること」(37.6%)と続く。一方で、「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」(29.4%)、「元気にいきいきと働き続けること」(26.3%)、「何事も率先して真剣に取り組むこと」(14.8%)といった積極性を求める項目は相対的に低い。ただし、直属の上司の立場から見れば、「まずは目の前の仕事をミスなく確実に進めてほしい」と考えるのが本音であろう。その意味で、新入社員の堅実な姿勢は上司にとっては好ましいといえそうだ。
仕事・職場生活での不安としては、「仕事についていけるか」(64.8%)が最も高く、次いで「上司とうまくやっていけるか」(44.2%)、「先輩・同僚とうまくやっていけるか」(38.4%)と、人間関係に関する不安が上位に挙がっている。「成長できるか」(30.1%)といったキャリア面よりも、まずは人間関係への不安が大きいことが読み取れる。
人間関係を重視する傾向は、就職活動にも表れている。就職先を選ぶ際に重視した点として最も多かったのは「働いている人が魅力的・職場の人間関係がよい」(39.4%)で、「仕事内容が魅力的・やりがいがある」(36.8%)や、「自分らしく働ける・強みや持ち味を生かせる」(35.8%)を上回った。本来であれば「仕事内容」が最も重視されると思われるが、それ以上に人間関係が重視されている点は、やや意外である。長期のインターンシップなどを通じてならともかく、通常の就職活動において、職場の人間関係の実情を把握するのは難しいのではないだろうか。
働きたい職場としては、「お互いに助け合う」(69.4%)が圧倒的に多く、人間関係の良さが強く望まれていることがわかる。ただし、「アットホーム」(32.5%)、「皆が1つの目標を共有している」(26.7%)、「活気がある」(25.6%)といった項目は低く、親密すぎる関係や熱気のある職場は、むしろ敬遠されがちな傾向も見られる。「うちの会社はアットホーム」は、今の若者にはあまり響かず、場合によってはネガティブに受け取られるおそれもある点に留意すべきである。
熱血型の上司も支持されにくい。上司に期待することの1位は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(49.7%)、2位は「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(47.9%)であるのに対し、「周囲を引っ張るリーダーシップ」(14.6%)や「仕事がバリバリできること」(13.0%)といった熱血タイプは人気がない。
最も低かったのは「部下に仕事を任せること」(7.5%)である。一般的に仕事を任せることは良い上司の要素とされるが、新入社員に限ってはそうとも限らない。むしろ、「少し過保護なくらい丁寧に寄り添う」ことが求められているといえよう。ただし、過度な密接さやアットホームな雰囲気は敬遠されるため、相手を尊重しつつ、一定の距離感をもった接し方が求められる。こうした調査結果を見るたびに感じることだが、「最近の上司は、本当に大変である」。