2024/3/17

規模間で異なる男女賃金格差

 女性活躍推進法に基づき、2022年7月から、社員数301人以上の企業に男女賃金格差の公表が義務づけられている。厚労省が1月に公表したデータによると、男性に対する女性の平均賃金は、全社員で男性の69.5%、正社員で75.2%、非正規社員で80.2%とのことだ。

 このように概ね女性の賃金は男性の7~8割ということだが、企業規模によっても違いがある。筆者が調べたところ、以下のようになった。

企業規模全社員(%)正社員(%)
5001~66.472.3
1001~500067.273.6
501~100069.174.5
301~500 70.775.7
101~30072.577.9
10~10078.380.6
 (「女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2024年3月14日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)」を用いて算出)

 ご覧の通り、規模が大きくなるほど格差が拡がることがわかる。それではなぜ、規模が大きくなるほど格差が拡大するのか。一般に男女賃金格差の理由として指摘されるのは、男性の方が管理職の登用が多いことと、男性の方が勤続年数が長いことである。

 そこで、同データベースを用いて、女性管理職比率、正社員の男女の勤続年数、勤続年数の差(男性-女性)を算出してみた。

企業規模女性管理職比率(%)男性勤続年数(年)女性勤続年数(年)勤続年数の差(年)
5001~12.615.712.33.4
1001~500014.014.411.43.0
501~100016.913.710.92.8
301~50019.113.010.62.4
101~30021.612.610.32.3
10~10026.49.68.01.6

 女性管理職比率は、規模が小さくなるほど高くなり、また、その数値の差も結構ある。5001人超は8人に1人であるのに対し、10~100人は4人に1人と倍の違いがある。女性管理職比率の違いが、規模間の差に大きな影響を与えているのは明らかである。

 一方で勤続年数は、規模が大きくなるほど、男女間の勤続年数の差は大きくなっているものの、それほどの違いはない。男女の勤続年数の差が、規模間の差に与える影響は少ないと考えられる。

 ということで、大企業になるほど賃金格差が拡がるのは、女性管理職の割合が少なくなることが大きな要因と言える。これは調べたわけではないが、一般社員に対する管理職の賃金の比は、大企業のほうが高いのではないだろうか。そうだとすると、女性管理職比率の違いと相まって、さらに規模間の差を拡げる要因となる。    

 


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