2019/9/29

評価フィードバックをすべきか

 
 人事評価制度を設計するとき、評価のフィードバックをするかどうか、また、するとすればどのような仕方で行うかは大きなポイントとなる。今回は、評価のフィードバックをすべきかどうかを整理してみよう。

 検討の前に、評価フィードバックの実施状況を確認すると以下の通りとなっており、規模が大きいほど実施割合が高いことがわかる。

規模計
1,000人以上
300~999人
300人未満
78.2%
83.5%
77.5%
74.2%
(出典:労務行政研究所「2018年人事労務諸制度の実施状況」)
 
 また、推移を見ると以下のようになっており、実施する企業は増加傾向にある。

2007年
2010年
2013年
2018年
64.2%
59.7%
68.7%
78.2%
(出典:同上)
 
 それでは、評価フィードバックの効果を考えてみたい。

 最大の効果は、会社や上司からの評価を知ることで、自己の能力や業績の現状を客観視でき、今後の仕事の改善や能力開発につなげられることである。これはフィードバックの目的でもある。人事評価の目的として、人材育成や能力開発を掲げる企業が多いと思うが、それならば、評価結果のフィードバックを行うのが筋といえる。特に、自己評価を取り入れている場合は、フィードバックをしないと、制度として不完全といわざるを得ないだろう。

 次に、部下へのフィードバックが必要となることで、評価者の評価に対する真剣度が高まることである。いい加減な評価では部下の納得を得られず、下手をすると信頼を失ってしまう可能性もある。本来、フィードバックの有無によって評価の姿勢が変わってはならないが、実際はその影響は少なくないはずである。

 さらに、フィードバックを通じて、上司・部下間のコミュニケーションが深められ、仕事のレベルアップが図られることも期待できる。
 
 一方でこれらの効果は逆の面も引き出す。

 最大のものは、フィードバックに対する上司のプレッシャーである。良い評価ならともかく、悪い評価のフィードバックは誰しも避けたい。相手がクセのある面倒な部下ならなおさらで、ストレスに弱い上司はメンタルが参ってしまうかもしれない。負担から逃れるために、実際よりも甘めの評価をしてしまうことも考えられる。

 被評価者の方も、悪い点のフィードバックにより自信を失ったり、評価の低さにモチベーションを下げてしまったりすることもあるだろう。

 さらに、評価者の評価スキルやフィードバックスキルが低いと、上司・部下間の信頼関係を悪化させるなど、かえって悪影響を及ぼすこともありうる。

 筆者は基本的にフィードバックを勧めているが、こういった負の側面を懸念し、フィードバックをしない企業も存在する。特に初めて評価を行う企業では、とりあえず導入時は見送り、ある程度公正な評価ができるようになった段階で実施するという選択にも一理あるだろう。
 
 評価のフィードバックは基本的には行うべきだが、何も考えず機械的に実施するのではなく、フィードバックの逆機能も考慮したうえで判断することが大切といえる。  
 

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