2026/2/1

ジョブ型雇用の導入状況

 経団連が1月20日に公表した「2025年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」では、ジョブ型雇用について調査がなされている。要点をまとめると以下の通りである。

1. 導入状況と時期
 調査対象企業の26.4%がジョブ型雇用を「導入している(導入予定・検討中含む)」と回答。導入時期については、2021年以降に導入または導入を予定している企業が急増しており、近年関心が高まっている傾向が見て取れる。

2. 導入理由
 「仕事・役割・貢献の処遇への反映(70.8%)」と、「優秀な人材の確保・定着(62.9%)」が2大理由となっている。それに対して、「専門性を持つ社員の重要性向上(38.2%)」は相対的に低い。

3. 適用範囲と運用実態
 適用範囲は「管理職全員」が43.4%と最も多く、次いで「社員全員」が22.9%となっている。職務記述書(ジョブディスクリプション)については、更新頻度は「定期的な更新はしていない」が40.7%と最も多い一方で、1年以内の頻度で更新する企業も29.1%存在している。賃金制度は「職務給・仕事給」が55.3%を占め、賃金体系は「範囲給)」が82.4%と主流になっている。

4. 未導入の理由
 導入していない理由は、「自社の職務・業態になじまない(50.4%)」が最多で、「職務を明確化しにくい(40.3%)」、「ジョブ型雇用を導入する必要性を感じていない(28.6%)」が続く。

 この中で注目したい点を2つ。1つ目は、適用範囲で「管理職全員」への適用が最多となっている点である。管理職からジョブ型を導入する理由として、以下のものを指摘できる。

・管理職はミッション・責任範囲・権限が明確なので、職務・役割の定義が比較的しやすく、一般社員よりも職務記述書を作りやすい。
・職務・責任に基づく処遇の差について合理的説明がしやすく、酬額額も一定程度あるので、ジョブ型により報酬格差がついても納得を得られやすい。
・すでにある程度の専門性が確立しているので、「職務固定」への心理的・制度的抵抗が相対的に少ない。育成目的のローテーションの必要性も小さい。
・対外採用・市場賃金との接続が容易で、外部労働市場との比較がしやすく、職務ベースでの採用・報酬設定が可能となる。

 もう1つ注目したいのは、未導入の理由として「自社の職務・業態になじまない」がトップに挙げられたことである。「ジョブ型になじみにくい職務」としては、

・職務固定すると、かえって現場の柔軟性が低下してしまう多能工・マルチタスク型の職務
・若手総合職や幹部候補など、育成・ローテーション前提の職務
・熟練技能者など属人的スキル・暗黙知依存の職務
・チーム・プロジェクト型で役割が頻繁に変わる職務

 などが考えられる。「ジョブ型になじみにくい業態」としては、

・少人数で複数役割を求められ、現場対応力も必要な小売業やサービス業
・事業フェーズで組織・役割が頻繁に変わるスタートアップ・新規事業
・個々の職務の専門性発揮よりもチーム連携が価値を生む事業

 などが挙げられる。要するに「流動的・多能・育成前提・属人性が高い職務」「少人数・現場柔軟性・変化が激しい業態」は、ジョブ型が機能しにくいということだ。

 そう考えると、日本企業は総じてジョブ型と相性が悪い。ジョブ型に転換するのであれば、制度を設けるだけでなく、仕事の進め方そのものを根本的に改める必要があると言える。         

 


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