2025/11/9

女性社長の現状あれこれ

 東京商工リサーチが10月27日に公表した2025年の「全国女性社長」調査によると、全国の女性社長は68万4,669人とのことだ。2010年の初回調査の21万2,153人から15年間で3.2倍に増えているという。

 「女性社長率(全社長数に対する女性社長の割合)」は15.55%で過去最高を更新している。都道府県別で最も高いのは沖縄県20.65%、最も低いのは新潟県9.93%だそうだ。

 業種別では、不動産業が25.15%で最も高く、4人に1人が女性社長である。次いで、サービス業他19.38%、小売業15.87%、情報通信業13.61%となっている。不動産業が多いのは、小規模・地域密着型で、他の業種に比べて、親から事業を承継しやすいことが要因と思われる。また、相続した不動産を法人化して活用するケースも多いだろう。

 逆に女性社長率が最も低いのは建設業5.52%で、他に農・林・漁・鉱業8.31%、運輸業9.48%が低い。下位は男性中心の業界で、それが女性社長の少なさを反映しているといえる。

 女性社長というと新興企業の若い人が思い浮かぶが、実態は異なる。年齢が判明した女性社長の平均年齢は65.2歳で、男性社長の平均63.6歳より1.6歳高い。年代別の分布では、70代が25.3%で最も多く、以下、60代24.6%、50代21.3%、80代以上15.1%、40代10.0%、30代2.9%、20代以下0.3%の順である。70代以上が4割を占めており、事業というよりは家業が多いことを連想させる。

 年齢の高さを反映して、女性社長の名前のトップは「和子」だそうだ。以下、「幸子」「洋子」「裕子」と続く。「子」以外で終わる名前が出るのは、20位の「明美」とのことだ。社長に多い名前と言うよりは、単純にその名前が多い世代ということだろう。2024年は「紬」がトップなので、50年後の2075年は「紬社長」がトップ、あるいは上位にいると予想される。

 ちなみに男性の場合は、2014年の調査では「誠」とのことだ。「誠」は1957年から1978年までの間に通算で18回最多となっており、今の時点で調査をしてもトップに来ると思われる。

 女性社長は増えているものの、男性と比べて会社の規模としてはまだ小さい傾向にある。売上高100億円以上は、女性社長企業の0.21%にとどまり、男性社長の1.00%とは約5倍の差がある。従業員数別でも、300人以上は男性の0.81%に対して0.31%である。

 共同通信の調査では、プライム市場における女性社長は2023年度で1643社中13人で、率にするとわずか0.79%。米Fortune誌によれば、米国上位500社では、2024年度時点で女性CEOが 10.4% とのこと。日本が米国並みに10%となるのは、はるか先のことのようだ。         

 


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