2018/5/7

適材適所に必要な職場の人間関係

 
  配置管理の一番の目的は適材適所による業績向上ということになるだろう。このとき、「適材適所」とは、その部署・業務・地位において最も能力・適性を発揮できる人材を配置するという解釈で異論はないと思う。ちなみに、国語辞典にも「適材を適当な地位・任務におくこと」とある(「新明解国語辞典」三省堂)。

 会社や人事部門も基本的にこの解釈を前提に人事異動を行っているはずだ。もちろん、人材やポジションには制限があるし、社員の育成の観点もあるので、必ずしも適材適所とはならないケースもあろうが、異動全体として可能な限りこのような考えで適材適所を目指そうとするのは間違いないだろう。

 ところで、異動の当事者となる社員の方は、「適材適所」をどのように認識しているのだろうか。これについて、リクルートマネジメントソリューションズが発表した「職場での適材適所に関する実態調査」で興味深い結果が示されている。

 調査は、適材適所のために重視しているものとして11項目を提示し、それぞれについて、<1:まったく重視していない~6:とても重視している>の6段階で点数化を行い、平均点を算出するという方式である。

 結果は一般社員と上司とに分けて示されており、最も点数が高かったのは、一般社員・上司ともに「人間関係のよい職場で働けること(一般社員4.9点、上司4.7点)」であった(なお、上司は他に3項目で4.7点がある)。特に、女性や20歳代で、人間関係の良い職場を重視する傾向が顕著に見られたとのことだ。

 本来の「適材適所」の意味ともいえる、「仕事内容が自分のできること(経験や能力)に合っていること」や「仕事内容が自分のやりたいこと(志向や興味)に合っていること」は、それぞれ、一般社員では4.5点、4.4点、上司ではどちらも4.6点と「人間関係のよい職場」よりも低い点数となった。

 この結果を基にすれば、社員の経験や能力、希望を考慮して、最適な部署に異動させたとしても、その職場の人間関係が悪ければ、適材適所とはいえなくなるということだ。

 ところで、職場の人間関係が悪いと感じる要因には、大きく次の2つが考えられる。1つは、パワハラ上司など人間関係を悪化させる特定の人物が存在するケースである。この場合は、その職場に異動した人の多くが人間関係の悪さを感じるだろう。
 もう1つは、メンバー間の相性が合わないケースである。特に上司との相性が悪ければ、部下にとっては居心地の悪い職場となる。この場合は、異動した人のうちの一部が該当することになるだろう。

 ただ、相性の合わない上司に当たるのが例外的かといえばそうでもなさそうだ。同調査では、もう1つ面白い結果を示している。

 「現在の会社・職場・仕事・上司は、自分にどれくらい合っていると思いますか」という質問に対して、「とても合っている(5.9%)」「合っている(17.7%)」「どちらかといえば合っている(39.8%)」というポジティブな回答は計63.4%であった。

 6割以上もあるじゃないかと思うかもしれないが、「会社」「職場」「仕事」はいずれもポジティブな回答が75%以上となっており、「上司」だけが明らかに低い。「合っていない(10.4%)」「まったく合っていない(7.7%)」というネガティブ度の強い回答が多いのも特徴である。つまり、上司と合わないと考える部下は結構多いということだ。

 このように、会社が適材適所と考えて人材配置を行っても、職場の人間関係によってはその意図も台無しになりかねないということだ。まずは職場の人間関係をよくすることが、適材適所の前提になるとも言い換えられる。人間関係の良し悪しは、社員のモチベーションや定着率などに大きな影響を与えることは様々な調査で確認されているが、適正な人事異動=適材適所の実現のためにも重要になるというわけである。 
 


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