2019/9/2

中間管理職のストレス

 中間管理職といえば、経営者や部長クラスの管理者と一般社員との間で、多大なストレスを抱えている姿が思い浮かぶ。

 実際、データでもそれが示されており、人材サービスのマンパワーグループが行った「勤務先で感じているストレス」についての調査によると、中間管理職の25.0%が「非常にストレスを感じている」、57.5%が「ややストレスを感じている」と回答し、80%以上がストレスを感じているとのことだ。 ちなみに、入社2年目までの若手社員への調査では、「非常にストレスを感じている」は17.0%、「ややストレスを感じている」は44.5%で、「ストレスを感じている」は全体の60%ほどである。

 同調査で中間管理職のストレスの原因として上位に挙げられているのは次の5つである。

・上司との関係 47.0%
・仕事量が多い 36.4%
・仕事の内容 33.6%
・取引先との関係 17.9%
・異動や昇進 17.0%

 上司との関係では、「話が通じない」「言うことがコロコロ変わる」「仕事内容を理解していない」「結果や評価に対するプレッシャーを感じる」などが指摘されている。

 面白いのは、若手社員のストレス原因も以下のように同様となっていることだ。

・仕事の内容 43.9%
・上司との関係 43.1%
・仕事量が多い 23.2%

 若手社員からすると、上司である中間管理職との関係が大きなストレス要因になっている。つまり、中間管理職は自分の上司にストレスを感じながらも、自身もストレッサーになっている可能性があるということだ。ストレスを抱えて不機嫌な上司が部下にストレスを与えるという“ストレスの連鎖”がうかがえる。

 おそらく、中間管理職のストレス要因となっている部長たちも、社長や担当役員など、その上司にストレスを感じているのではないだろうか。そして、「話が通じない」「言うことがコロコロ変わる」「仕事内容を理解していない」・・・・とまったく同じ嘆息が出てきそうである。

 さて、現状を悲嘆していても仕方ないので、少しでもストレスを和らげるためのヒントを提供したい。ひとことで言えば、相手の立場を認識すること、言葉を換えると全部周りが悪いとの被害者意識でなく問題は自分にもあるとの当事者意識を持つことである。

 最近読んだビジネス誌に載っていた話だが、ある企業では、経営者が管理職のヨコの連携が不足していることを嘆く一方で、管理職は自分の仕事が精一杯で社長は現場のことをわかっていないとの思いだったという。そこで、経営者と管理職で、相手の立場に立って会社や事業、仕事を考えてみるという機会を何度か持ったそうだ。すると管理職は、「社長の立場から見れば、確かに管理職に横の連携を強化しろというな」と自覚するとともに、逆に社長は「管理職から見て、自分はこんな遠い存在なのか」とショックを受けたそうだ。

 ここで示したのは組織改革の手法の1つであるが、自分を棚上げして、すべてを他者のせいにしても問題は解決しないという考え方は、上司との関係を改善する方策とならないだろうか。

 上司個人の性格に帰するところもあるだろうが、相手の立場になって俯瞰してみる、特に相手から自分がどう見えるかを冷静に考えてみることで、少しは相手の言い分も理解でき、ストレス緩和につながるのではないかと思う。 
 

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