2023/10/22

Z世代新入社員の意識

 10月3日、日本能率協会が「2023年新入社員意識調査」結果を発表した。調査が行われたのは4月初旬で、まだ仕事に本格的に取り組んではいない時期である。理想と現実のギャップに直面する前の、新入社員の純粋な思いが現れていることが期待できる。

 世代により新入社員の特性に違いはあっても、入社したての時期の期待と不安は、世代を超えて共通のことと思う。その中で、Z世代と呼ばれる今どきの新入社員の意識を確認してみたい。

 まず、理想だと思う上司・先輩として挙げられている上位3つは、

・仕事について丁寧な指導をする(79.0%)
・言動が一致している(53.2%)
・部下の意見・要望を傾聴する(47.3%)

 となっている。一方で下位3つは次の通りだ。

・仕事を任せて見守る上司・先輩(16.9%)
・リスクを恐れずチャレンジする上司・先輩(19.1%)
・仕事の結果に対する情熱を持っている上司・先輩(20.6%)

 明らかに「優しい上司」が望まれていることがわかる。うがった見方をすると、「仕事を丁寧に教えてもらうのは当然」という意識も垣間見える。「仕事は(俺のやり方を)盗んで覚えろ」といった指導法は、今の新入社員には通用しないということだ。

 また、「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩」が45.0%に対し、「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」は35.7%だ。まずは褒めることを優先すべきと言えそうである。

 次に、仕事をしていく上での不安の上位3つは、

・上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか(68.6%)
・仕事に対する現在の自分の能力・スキル(65.6%)
・仕事での失敗やミス(50.7%)

 となっている。まずは人間関係が気になるのは、おそらく今の新入社員に限らないのではないかと思う。「やりたい仕事ができるかどうか」は12.3%で最も低く、自分の意志を押し通すよりも、周囲との調和を重視する姿勢が見られる。

 仕事をしていく上での抵抗感について、いくつかの事例を選択してもらっている。トップは、「上司や先輩からの指示が曖昧でも、質問をしないで、とりあえず作業を進める(83.7%)」で、明確な指示が非常に重要なことがわかる。本人の成長のために、あえて曖昧な指示をするというのは、入社後当面は避けた方がよいようだ。

 2番目の「知らない人・取引先に電話をかける(67.4%)」は、まさに最近の若者の特徴と言えるだろう。3番目は「会議や打ち合わせで自分の考えを発信する(58.6%)」だ。SNSによる簡易なコミュニケーションに慣れたZ世代は、自分の考えをきちんと述べるのは苦手とされる。

 もっともコミュニケーション全般が不得手かと言えばそうでもない。「上手くいかなかったことを、すぐに報告する(32.6%)」、「周囲に協力を依頼する(33.5%)」、「困ったときに周囲に相談・連絡する(34.7%)」と報連相への抵抗感は少ない。この点、報連相を好む日本企業には安心材料と言えそうだ。言われたことはきちんとやるというZ世代の良い面が現れている。    

 


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