人事制度構築の事例 初任給の見直し



重本コンサルティングオフィス
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初任給見直しによる逆転対応


背景

 デフレが長く続いたことから初任給を据え置いてきた企業も、近年のベアの復活や人材獲得競争の激化により、初任給の引き上げを検討するところが増えてきました。
 久しぶりの引き上げということで、世間相場やライバル会社に合わせるために、かなりの増額を余儀なくされるケースも多いようです。
 そうすると、既存の若手社員よりも新入社員の方が給与が高くなるという困った事態が生じることがあります。現場で新入社員の面倒を見るのは若手社員ですので、当の若手社員にとっては、教える自分たちよりも、教えられる新人たちの方が高給というのは決して面白くはないはずです。クライアントG社もまさにそのような状況にありました。どのように対応したかを見ていきましょう。

対応の仕方


 初任給引き上げによって既存社員との逆転が生じる場合の対応には、次の2つの方法が考えられます。

1.既存社員に調整手当を支給
 既存の若手社員に調整手当を支給する手法です。調整手当は、数年(たとえば3年)かけて償却していきます。
 
<例>
・現初任給が190,000円で、来期は10,000円アップして200,000円としたい。
・昇給額は5,000円。
・2年目の社員に調整手当10,000円を支給。これを以下のように3年で償却。 
 
 
 基本給
 調整手当
 支給額計
 2年目
 195,000(1年目+5,000)
 10,000
 205,000
 3年目
200,000(2年目+5,000)
 6,600
 206,600
 4年目
205,000(3年目+5,000)
  3,300
 208,300
 5年目
210,000(3年目+5,000)
 0
 210,000
 ・3年目の社員には6,600円、4年目の社員には3,300円を同様に支給。

2.新卒者、既存社員の双方に調整手当を支給
 初任給は従来のものを維持し、引き上げ額を調整手当で支給します。調整手当は、数年(たとえば4年)かけて償却していきます。既存社員にも同様の調整手当を支給し、逆転が生じないようにします。

<新卒者の例>
・調整手当10,000円を支給。これを4年で償却。

 
 基本給
 調整手当
 支給額計
 1年目
 190,000 
 10,000 
 200,000
 2年目
 195,000(1年目+5,000)
 7,500 
 202,500
 3年目
 200,000(2年目+5,000)
 5,000 
 205,000
 4年目
 205,000(3年目+5,000)
 2,500 
 207,500
 5年目 
 210,000(4年目+5,000)
 0
 210,000
 
<既存社員(入社2年目)の例>
 
 
 基本給
 調整手当
 支給額計
 2年目
 195,000(1年目+5,000)
 7,500 
 202,500
 3年目
 200,000(2年目+5,000)
 5,000 
 205,000
 4年目
 205,000(3年目+5,000)
 2,500 
 207,500
 5年目 
 210,000(4年目+5,000)
 0
 210,000
 ・入社3年目、4年目の社員にも同様に支給。
 
留意事項

・1と2の基本的な違いは、初任給の引き上げを恒常的なものにするか、一時的なものにするかです。
 
・G社では、賃上げは今後も恒常化するとともに、他社の動向から再度の初任給引き下げはありえないと判断し、1案を採用しました。

・既存社員への調整手当について、3年目・4年目の社員にも10,000円を支給することも考えましたが、人件費負担や他の社員とのバランス等から6,600円、3,300円としました。

・いずれの案にしても人件費アップとなりますが、既存社員のモラールを維持するため、給与は少なくとも初任給以上とした方が適切です。許容人件費、社員間のバランス、昇給額、昇格などを考慮しながら、上記の案を参照ください。