人事制度構築の事例 コンピテンシーQ&A



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 コンピテンシーQ&A

 経営者や人事担当者にとってコンピテンシーという言葉は、人事に関する基本用語と言えるまでになってきていますが、それでもまだなじみにくい面もあるようです。ましてや、一般の社員にとっては、やはりよくわからないものというのが実情ではないでしょうか。ここではコンピテンシー活用にあたっての基本事項をQ&A形式でまとめてみました。
 このQ&Aは、コンピテンシー評価を導入する際に、社員向けに配布した資料をベースにしていますので、コンピテンシー制度の設計というよりは運用に適しているかと思います。人事制度マニュアルや評価マニュアル等で、コンピテンシーに関して社員向けに説明をする際の参考として活用ください。もちろん、制度導入の際の基本知識の確認にあたって利用することもできると思います。



■QUESTION

Q1

コンピテンシーとは何ですか?

Q2

コンピテンシー・モデルとは何ですか?

Q3

コンピテンシーと職務遂行能力の違いは何ですか?

Q4

成果主義人事制度においてコンピテンシーはどのように位置づけられますか?

Q5

コンピテンシーは、どのようにして抽出するのですか?

Q6

コンピテンシーを評価することのメリットは何ですか?

Q7

コンピテンシーのデメリットは何ですか?

Q8

評価対象となるコンピテンシーはずっと同じなのですか?

Q9

業績評価とコンピテンシー評価の関連はどうなっていますか?

Q10

上司が見ていないところでの行動は、どのように評価されるのですか?
Q11コンピテンシーは恒常的に発揮されるものということですが、恒常的とはどれくらいでしょうか?
Q12コンピテンシーを能力開発に活用するにはどうすればよいでしょうか?
 

■QUESTION&ANSWER

Q1

コンピテンシーとは何ですか?

A

コンピテンシーとは、高業績者の行動特性のことで、高い業績を上げている人に特徴的に見られる行動を類型化したものです。「できる社員の行動パターン」あるいは「行動ノウハウ」と理解すればよいでしょう。
たとえば、コンスタントに高成績を上げている営業マンの行動を観察した結果、”普段から顧客とマメに連絡を取り、情報収集に努め、顧客の関心事を把握している”、”商談よりもむしろアフターケアに重点を置いている”という行動が明らかになったとすれば、これらがコンピテンシーとなります。
 

Q2

コンピテンシー・モデルとは何ですか?

A

1つや2つののコンピテンシーだけで高い業績を実現できるわけではありません。いくつかのコンピテンシーを組み合わせることが高業績のカギになります。こうした点を踏まえて、多数あるコンピテンシーを体系的に整理し、その役割や仕事内容によって組み合わせたものが「コンピテンシー・モデル」です。つまり、1つ1つの行動特性がコンピテンシーであり、それらを部門・職種や等級・職位といった単位ごとにまとめたものがコンピテンシー・モデルということです。ただ、実際には、両者は区別することなく使われることが多いようです。
 

Q3

コンピテンシーと職務遂行能力の違いは何ですか?

A

従来の能力評価の基準となっていた職務遂行能力とは、一定のレベルの仕事をこなすのに必要となる能力のうち、主要なものをいくつかピックアップしたものです。能力は、潜在的か顕在的かを問わずにとにかく持っているという保有能力と、実際に行動で示される発揮能力に分けられますが、職務遂行能力が重きを置くのは保有能力の方です。したがって、いくら職務遂行能力が高くても、それが発揮されなければ高い成果には結びつきません。一方、コンピテンシーの対象となるのは、実際に行動で示される発揮能力の方ですので、成果への連動性が各段に高まります。「~できる」のが職務遂行能力であり、「~している」のがコンピテンシーであると理解すればよいでしょう。

 

Q4

成果主義人事制度においてコンピテンシーはどのように位置づけられますか?

A

成果主義人事制度とは、成果を基軸に社員の処遇を決定する仕組みです。コンピテンシーは高い業績を出すための行動ですので、従来の評価要素であった能力や情意よりも成果との関連性は高いといえます。そこで、能力・情意評価の代わりにコンピテンシーを用いるケースが増えています。また、成果主義の下では、社員に成果を求めるだけでなく、成果を出せるよう企業として社員の能力開発も重要となります。そのための行動目標として利用されることもあります。

 

Q5

コンピテンシーは、どのようにして抽出するのですか?

A

コンピテンシーは、①高業績を上げている社員へのインタビューを通じて特徴的な行動を導き出す、②経営者や幹部から理想とする社員の取るべき行動を列挙してもらう、といった方法で抽出するのが基本です。ただ、このような手間をかけたくない場合には、既存のコンピテンシー・ディクショナリーから自社に適したものをピックアップすることもあります。企業の規模、専門人材の有無、かけられるコストに応じて、自社に合った方法を選択することになります。
 

Q6

コンピテンシーを評価することのメリットは何ですか?

A

コンピテンシー評価のメリットは主に3つあります。1つ目は、Q2で述べたように成果への連動性が高いことから、コンピテンシーを評価し、開発・向上させることで業績の向上が期待できることです。2つ目は、評価基準が実際に目に見える行動となりますので、職務遂行能力などに比べて評価しやすくなるということです。3つ目は、等級レベルや部門・職務に応じて具体的な行動が示されますので、成果を上げるためには、どのような行動を取ればよいかが明確となり、行動指針が立てやすいという能力開発上のメリットです。
 

Q7

コンピテンシーのデメリットは何ですか?

A

コンピテンシーの最大のデメリットは、モデルを設計するのに手間ひまがかかることです。職務遂行能力のように、どの企業でも使えるような汎用性のあるモデルがありませんので、自社にマッチするモデルの作成にはそれなりの労力やコストが必要となります。また、環境変化や新規事業への進出などにより、コンピテンシーの再設計や新設なども必要となり、メンテナンスの手間もかかります。
また、評価に使った際には、部門・部署や職位・等級ごとに異なるコンピテンシーとなることが多いため、評価者は慣れるのに時間がかかるという点もあります。
どちらも、見方を変えれば、そのように職場の特性に合った作りこみをしているからこそ意味があるともいえます。
 

Q8

評価対象となるコンピテンシーはずっと同じなのですか?

A

これだけ環境変化の早い時代ですので、成果を上げるための行動も変化していきます。これに合わせてコンピテンシーも当然に変えていく必要があります。たとえば、近年のコンプライアンス重視の姿勢を受け、コンプライアンスというコンピテンシーを新たに設定することなども考えられます。
 

Q9

業績評価とコンピテンシー評価の関連はどうなっていますか?

A

業績評価が結果の評価だとすると、コンピテンシー評価はプロセスの評価といえます。理論上は、高いコンピテンシーを発揮していれば、高い業績が達成されるはずですが、外部環境の影響などから必ず連動するというわけではありません。したがって、業績評価とコンピテンシー評価は切り離して考える必要があります。業績目標が未達成だからという理由で、コンピテンシー評価が悪くなるということはありません。それぞれの評価基準にしたがうことになります。
 

Q10

上司が見ていないところでの行動は、どのように評価されるのですか?

A

具体的な成果や、日常的な報告・連絡等のコミュニケーションを通じて、上司は部下がどのような行動を示しているかを把握しています。同時に、このような行動をとっているということを、日常のコミュニケーションの中で部下の方から伝えていくことも重要です。コンピテンシー評価にあたっては、これまで以上に上司と部下の双方でコミュニケーションを深めていく姿勢が求められます。

Q11

コンピテンシーは恒常的に発揮されるものということですが、恒常的とはどれくらいでしょうか?

A

コンピテンシーにもよりますが、通常は2~3回その行動が見られたというだけでは恒常的といえません。人間ですので、プラスの行動もあればマイナスの行動もあります。どのレベルの行動がもっとも多いかを判断する必要があります。また、どういうときにプラスで、どういうときにマイナスの行動が示されるのかその要因や背景もつかんでおきたいです。不可抗力でそのような行動をとらざるを得ないケースも考えられるからです。

Q12

コンピテンシーを能力開発に活用するにはどうすればよいでしょうか?

A

コンピテンシーによる能力開発も、基本的な進め方は他の能力開発と同様に、①現状のレベルを明確化すること、②目標とするレベルを設定すること、③具体的な方策・プランを立てること、④方策・プランを実施すること、というプロセスになります。これをコンピテンシーに置き換えると、①向上させるコンピテンシーを設定し、その現状レベルを明確化する、②目標レベルを設定する、③いつ、どのような場で、どのような行動をすべきかを具体的に設定する、④実施するとともにその状況をチェックする、というような内容となります。これらを本人と上司とが協調し合って進めていくことで大きな効果が期待できます。具体的な手法については、「コンピテンシーによる能力開発」を参照ください。