人材育成会議

 当オフィスが、最近、人事制度構築の際に組み込んでいる「人材育成会議」について解説します。

  人材育成会議とは

 人材育成会議とは、人事評価の公平性を確保するとともに、社員の能力開発を明確化することで、人材を継続的に育成するための会議体です。
 一般に、「人事評価委員会」などと称して、社長や役員、部長等の上級管理者が集まり、全社的な見地から評価の調整や最終決定の場を設けることがありますが、これをさらに発展させて社員の能力開発に主眼を置いたもの考えればよいでしょう。

人材育成会議の目的

 その目的を整理すると次の4つが挙げられます。
 
① 部門間の評価のばらつきを是正し、評価の公平性および納得性を高める。
次年度の能力開発課題を明確化・共有化することで、社員の継続的な育成を図る。
上司のスキルに左右されない育成システムを確立する。
④ 評価者の評価/育成スキルを向上させる。

  まず、①については、評価を能力開発に活かす前提として、評価結果に納得をしてもらうことが重要となるため、会議で公平性を確保しようとするものです。

 続いて②に関して、当会議は全社的に能力開発を推進するためのエンジンになるということです。「わが社は育成を大切にしている」と言いながら、実態は人事部門や上司に育成を任せきりの企業をよく目にしますが、そうではなく、経営者が人材育成に具体的に関わっていることを明確に示せるようになります。これにより、社員としても、自己の能力開発によい意味でのプレッシャーを感じることができます。

 ③
は、人材育成を上司任せにすると、上司の意欲やスキルにより結果に大きな差が出てしまうリスクがあるため、これを防ぐ機能が期待できるということです。同時に、④にも関連しますが、会議を通じて上司も能力開発課題の着眼点、設定の仕方、進め方など多様な意見を吸収し、人材育成スキルを向上させることができるようになります。
 
実施の概要

 
次に実施の概要を説明しましょう。 

  対象者(被評価者)は、全社員とするのがベストですが、管理職のみ、一般社員のみという形で、自社に合った区分を設定するのも結構です。

  実施時期は、評価に合わせて開催することになります。つまり、評価が年1回なら1回、前期・後期に分かれているのならそれぞれ開催します。ただし、前後期の場合で、それぞれの開催が困難であれば年1回でもよいでしょう。

  会議メンバー(評価者)は、組織規模や対象者の人数にもよりますが、社長、役員、部門長クラスおよび1次2次評価者が基本となります。対象者が一般社員の場合は、担当役員、部門長クラスおよび1次2次評価者というように適宜編成します。なお、1次2次評価者は原則として自身の部下に係る会議に参加します。
  上記のメンバー以外に意見を聴くことが有効と考えられる者や、任意に参加したい者がいる場合は、出席できる仕組みを設けておくことも考えられます。

会議の基本プロセス

 
会議の基本プロセスは次のとおりです。

① 1次評価者が評価内容、課題等を説明する。
② 2次評価者が補足説明する。
③ 不明点や疑問点など、質疑応答を行う。
④ 部門間の均衡、各評価者の評価特性、許容人件費などを踏まえ、全社的見地から最終評価を確定する。
⑤ 次期の目標や能力開発課題、行動課題、自己啓発課題等を確認する。

 ①の前に、「被評価者が自ら評価結果や今後の課題を説明する」という自己説明のプロセスを入れるものよいでしょう。特に部長クラスなどには有効です。なお、会議に被評価者を出席させる場合は、本人を問い詰めたり、叱ったりしてはなりません。当会議は、育成に向けての動機づけを高める場であり、責任追及の場ではないからです。

 被評価者が出席する場合は、上記の④と⑤を入れ替え、本人が退席した後に評価を確定させるというプロセスも考えられます。

 所要時間は、1人につき15分~20分というところです。ポイントを押さえてテキパキと進めていきたいです。
 
 スムースに進めるために、メンバーは会議前に全被評価者の評価結果を一覧しておくことが望まれます。なお、評価結果は評価シートだけでは一覧しづらいので、人事担当部門で下記のように結果のみを記載した様式を作成しておくと利便性が高くなります。
 
部署
 氏名
 役職
等級 
1次評価 
 2次評価
 能力
 業績
 総合
 能力
 業績
 総合
 人事
 ○○○○
 課長
 
 
 
 
 

 会議後はフィードバック面談等を通じて、1次評価者から被評価者に話し合った内容を伝達します(※被評価者が出席しないとき)。

人材育成会議の本質

  人材育成会議は、人事評価に関する会議とは切り離して設置してもよいのですが、適正な能力開発は適正な評価が前提となることや、評価と能力開発の連動を意識すること、会議の時間確保の問題などから、評価会議と一体化させるのが実践的です。

 
人材育成会議の目的は最初に述べたとおりですが、より本質的な目的は、各人の成長に向けて全社が一体となることです。言葉を換えると、一人ひとりの社員が大切であることを全社員が共有することです。これは、今後の企業の継続的な成長に重要なことです。人材育成会議はそのための基盤になると考えられます。

(本稿は2015年7月6日付のミニコラム「人材育成会議のすすめ」を加筆・再編集したものです。)